舞台感想:サイボーグ009

 久々の感想です。ツキイチ投稿がまったくできてませんが、かける時に書きたいものを書きます。

 ふた月前になりますが、舞台版009を観て参りました。途中まで書きかけて時間が取れずにいましたが、せっかく節目の日だそうなので。

 最初に記しておきたいのですが、私の009歴は平成版のTVアニメが最終話まで、他は新昭和版と言われているカラーのを2話まで見てるだけです。つまり、以下の感想は「ほぼ、平成アニメしか見てない人の感想」としてご覧ください。

 結論から言うと、良い意味で裏切られた面白さがありました。まさに令和に甦った009。
そんな舞台の、特に気に入った点についてビジュアル、音楽、ストーリーの3つに絞ってご紹介します。

(⚠️以下は舞台版および平成版のネタバレを含みます)

 まずはビジュアル。009と言えば、エッジの効いたくっきりした線で書かれた印象ですので、そのまま人間がやると戦隊ヒーローの怪人かEテレのマスコットになってしまいそうなところ。これはデザインの方のセンスだと思いますが、生身の人間に落とし込むにあたってココとソコを押さえるとこのキャラらしくなるよねというのが押さえられた、絶妙なビジュアルでした。
主人公サイドなら代表して002。空をマッハで飛べるという設定を、常に後ろに流れてる髪→ポニーテールで表現するの巧妙だなと最初のビジュアル発表の時から唸りました。逆に006や007は漫画から出てきたようにそっくりで、全員そろうとまさに出身も年代もバラバラな「彼ららしい:集合体になるのだなと。

 次に音楽、と振付も。まさかのラップとヒップホップ、ブレイクダンスで来るとは思いませんでした。でも平成アニメのOPもラップパートあったので違和感はなく。globeは曲の雰囲気も含めて浮遊感がありましたが、今作はむしろ
スタイリッシュな中に地を這うような泥臭さを感じました。まさに生きるか死ぬかの瀬戸際 を駆け抜けているかのよう。(それでいてアガる。)そしてアンサンブル=BG SOLDIERSのブレイクダンスがキレッキレで、攻撃受けた時のポーズとか関節どうなってるの!?と文で説明できないような体制で止まったりするので、それが、まさにサイボーグ戦士の超人的な力で攻撃された説得力があって面白かったです。

 最後はストーリー。原作を持っていないのでかなり曖昧で申し訳ないのですが、平成アニメでも出てきた最初の強敵・0010±。アニメだとかなり冷徹で残忍、けれど最後に兄弟の絆が垣間見えるのが切ない、そんな印象でした。
それが、舞台版だとかつて009=ジョーと交流のあった兄弟…という設定が追加されたものですからたまったものではない。暗闇の中にいたジョーを救ってくれた光のような兄弟が、再会したら自分を殺しに来るなんて…という展開と末路はあくまで原作通りなので、切ないを通り越して号泣しました。懐っこくてお兄ちゃん大好きな弟くんと、気遣い上手で優しいお兄さん。それが、冷徹で残忍なサイボーグ戦士となる、なんて残酷で悲しい。けれど、あのアニメでも切なくなったラストが更に深みを増してとても美しいので、興味持たれた方は何らかの公式でご覧いただきたく。
(…まったくの余談ですが、ふしぎ遊戯の青龍の双子がお好きな方は刺さると思います。コゴトも好きです。)

 総括しますと、昭和に生まれながら現代的な逆にサイボーグ009ってなんでも合いそうだなと感じました。物語の骨子や伝えたいことが明確なので時代に合わせたアレンジが可能なのかもしれません…100年後の舞台版とか観てみたいです。いや無理か。でも、100年、200年と受け継がれてほしい作品です。それまでには今よりも戦争や貧困がない世の中になっていてほしいな…。今もどこかで人知れず闘っているかもしれない009たちが、いつか本当に安らぎの日々を得られる時が訪れますように…そんなことを願いながら、劇場を後にしました。

 二ヶ月も前のことですが、今でも余韻に浸れる素敵な作品です。ご興味があれば是非。
あ、平成版ご覧になった方にはスカールをオススメします。圧倒的なスタイルと綺麗なお顔から迸る若本規夫(激似)ボイスに衝撃を受けること間違いなし。(最後に何を言ってるのか)

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