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TOTOトイレ、座って健康管理 病気の兆候キャッチ 日経2/3(木)

TOTOが開発する「ウェルネストイレ」の特徴は、便座に内蔵するセンサーだ。いつものようにトイレを使うだけで、「利用者の健康に関する様々な指標が一目で分かる」

お尻や太ももが便座に触れると内蔵センサーが起動し、用を足す数分の間に血流や心拍数、肌の状態などのデータを収集する。データは人工知能(AI)がクラウド上で解析し、ストレス状態や運動不足の有無などを把握する。結果は利用者のスマホアプリに通知する。

アプリにダイエット中と入力しておけば、冒頭のような食事メニューの提案が表示される。仕事で大事なプロジェクトを任された際などにストレスレベルが大きく上がっていないか、毎日セルフチェックする利用法も考えられる。

便座センサーの利用法は幅広い。微弱電流を流せば、一般の体組成計などと同様に内臓脂肪レベルや骨格筋率などを測定できる。

毎日の尿や大便の臭いを分析し、体調の変化を読み取る機能も有力だ。半年に1度の健康診断よりも早く病気の兆候をつかめる可能性がある。

データを基にした食事メニューの提案や健康指導を通じて、継続課金ビジネスが可能になる。研究機関や医療機関などと提携し、病気予防の有料サービスを展開する道も開ける。

米アップルは腕時計型端末「アップルウオッチ」を通じ、医療分野への参入を試みる。内蔵の電気心拍センサーによる心電図の計測機能を日本でも提供し始めた。米グーグルは今年1月、ウエアラブル機器大手の米フィットビットを買収した。

米調査会社IDCによれば、20年7~9月に世界で約1億2500万台のウエアラブル端末が出荷された。腕時計型や耳装着型を中心に前年同期より35%増えた。呼吸器にダメージを与える新型コロナの影響で、血液中の酸素濃度を測定する機能に注目が集まっている。

トイレメーカーも無縁ではいられない。パナソニックは18年に中国で、潜血や尿酸値などを測定可能なトイレを発売した。TOTOがウェルネストイレをどれだけ早く具体化できるか、スピードが問われる。

生体情報は病気の推定などプライバシー侵害につながりかねない。機能の進化と同時に、サイバー対策でも万全の体制が求められる。

(大岩佐和子氏 日本経済新聞社 編集委員・論説委員)ものが溢れ、消費者の選択肢が増える中、メーカーにとっては売っておしまいではなく、売った後いかに顧客との接点を保つかが重要です。この記事を見て、アシックスが昨年に発売した内蔵センサーで走り方を分析するシューズを思い出しました。アパレルからは、睡眠状態を可視化して眠りの質を高める助言するスマートパジャマが売り出されています。生活の質の向上が大いに期待されますが、一方で、SNS疲れのように、何でもかんでも自分の状態を知りすぎると、気になって疲れてしまわないかも気になります。

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