見出し画像

インドアもアウトドアもマイノリティも!2020年度卒業公演インタビュー企画③

はじめに

 こんにちは!劇団コギトのnoteを身に来てくださり、ありがとうございます!あったかくなってきましたね!
と言いたいところですが、怖い話を読んでしまった直後なので、編者は今めちゃくちゃ寒気がしています。特に足首の辺り。でも怖い話って、化け物が化け物になってしまった理由とか聞いていると気の毒になったり、愛着が湧いてきたり...「怖い」だけでは済ませられない物語が垣間見えたりすることもありますよね。
さて(力強く話題を変えて)、インタビュー企画も今回で第3弾!山場です。
こんな大事な回にご協力くださったのは、アトリエからの帰路、しばしば「劇団コギト電車内取り残され問題(団員の大多数が、とある駅で一気に下車してしまう現象。家が遠い人は帰りの電車で急に1人になってしまうことも…)」でマイノリティの寂しさを味わってきたと話すお2人です。きっと巧く作られたホラーマンガのように、複雑で奥深い話をしてくださることでしょう。。

【閲覧環境について】
noteの推奨環境は下記となります。推奨環境に該当しない環境では、各種機能が正常にご利用いただけない可能性があります。
また、下記環境範囲内であっても、ブラウザとOSの組合せにより一部表記に不具合が生じたり、各種機能をご利用いただけない場合があります。あらかじめご了承ください。詳細はこちら。
【パソコンでの閲覧】
OS:Windows 10以降 Mac OS 10.12以降
【タブレット・スマートフォンでの閲覧】
推奨端末:iPhone 5s(iOS 11.0)以上, Android 5.0以上

他己紹介

滝澤:みゆさんこと長澤実柚大先輩は4年生でして、この公演がコギトの団員としては最後の公演になります(寂しい!)。彼女は入学以降ほぼ全ての公演に何らかの形で関わっており、コギトに最も貢献しているメンバーといっても過言ではないと思われます。ちなみに今回は役者をされています。
劇団員としての技術もさることながら、気遣いの鬼というか、引っ込み思案な人に自分から積極的に話しかけにいったり、会話においても話題を途切れさせないように努力されていて、みゆさんに救われた私のような後輩も多いはずです。綺麗・演技上手・料理上手・気遣いの鬼・完璧営業スマイルと五拍子揃った尊敬すべき先輩です。(byグリーン班・舞台美術 滝澤氏)

長澤:一橋大学社会学部2年の滝澤くんです。彼は昨年1年間、主に舞台美術として公演を支えてきました。今公演でも舞台美術を務めます。
滝澤くんは何となく読書家の印象があります。このご時世、ZOOMで会議をすることが増え、ほとんどの人が部屋の一部が映り込んでいる状態で話をすることになります。その時に見えた滝澤くんの部屋には、大きな本棚とズラッと並んだ文庫本があり、感嘆してしまいました。(なにぶん自分が大学生になってから読書量がめっきり減っているもので…)
このご時世になる前は観劇も積極的にしていた子だったので、色々な分野からインプットを行っているなという印象でとても頼もしいです。(byブルー班・役者 みゆさん)

~個性的なお2人によるおしゃべり、スタートです!~

インドアもアウトドアもマイノリティも!

(みゆさんの班のペアである、瑞菜さんが担当する音響について話しながら)
滝澤:この脚本において、音とは何ぞや、と。
長澤:うんうん。私も公園の中で撮ってるから、既にもう人の話し声だったり、風の音だったり、鳥の声だったり入ってるんだよね、だいぶ。その中で人工的な音をどれぐらい足すのかっていう。
滝澤:そうですね。BGMかけるのか、かけないのか。その辺も。
長澤:そう。稽古の様子でいくと、舞台美術とかどうしてる?
滝澤:舞台美術は(今回)小道具との違いがよく分かってなくて。
長澤:あ~
滝澤:でもこういう小物を使ったらいいんじゃない?みたいなアドバイスはしてますね。例えば、あの、どこの角度から映したらいいかってなって、僕が提案したのは手元をこう、斜めから撮るみたいな。手元で、手の表情とか、机の上の小物をいじったりすることで感情表現できたらな、みたいなふうなことをやっていて。これこれこういう小物をこういうときに握ったらいいんじゃないか、こういう感情が表現できるんじゃないか、ってことは言ってるんですけども。でも舞台じゃないよなあ、小道具だよなあ、って感じもしてます。(編注:今回の公演は完全オンラインなので、普段使っているような舞台セットを使うことができません。舞台美術の意味合いは大きく変わってきますね…!)
長澤:うん。舞台(美術)めっちゃ難しいなあ。
滝澤:舞台とは。(役者の)家の中ですからね。
長澤:うん笑 zoomっぽい演劇における舞台とは。
滝澤:うん。画面のレイアウトなんでしょうね、きっと。画面全体で何が映っているかっていう話とかなんでしょうね。
長澤:視覚的な部分だよね。私は昨日、公園とかで、いろいろ物撮りながら、歩きながらとか、スマホ目元に掲げて。こっち(片手)で脚本めくりながら、こっち(もう片方の手)でブレないように撮るのが全然できなくて、
(編注:今公演では参加する団員同士が直接会うことはできないため、役者は動画撮影から編集まで一人で行っています。)
滝澤:はいはいはいはい。
長澤:めちゃめちゃ酔いそうな映像になっちゃったんだけど。そうね今、音響(蔭山さん)とかと、稽古の日記を通してやり取りしてるんだけど、そうね、やっぱり自然な音を入れたいっていう。
滝澤:うん。
長澤:話とか、あとは、瑞菜さんが音響だから、なるべく視覚映像はシンプルにしたことがいいのかなって気が付いて。音に注力するのであれば。
(編注:各班、役者1人&スタッフ1人という構成なので、班ごとの完成品には「ペアになったスタッフの役職」の特徴が多分に影響します。)
滝澤:はい。
長澤:映像から、視覚から得られる情報量が多いとあれかなって話を今ちょっとしている。日記で。
滝澤:あ~、なるほど。音響的アプローチもなかなか大変そうですね。
長澤:うん。
滝澤:自然の音、まんま入れたらうるさいですもんね~。
長澤:や、そうなんだよねそうなんだよね~。なんか、今ちょっと思ってるのが、その、本来は土曜日の稽古を本番として持ってくるじゃないけど、
滝澤:はい。
長澤:土曜日の稽古が本番同様みたいな感じだけど。
滝澤:そうでしたね。
長澤:公園で撮るってなったら、曜日的にあかんのよ。金曜日の稽古を本番のものってことでいいのかな、って思い始めてしまった。

画像2

↑公園での稽古の様子。空がきれいな時間帯。柴犬くんもちらっと映ってかわいいですね。

長澤:音響も難しいけど、舞台本当にイメージつかない。
滝澤:いやあ、そうですね。。
長澤:しかも、あれ?祐奈ちゃん(滝澤氏のペア)、舞台美術やったことあったっけ?一回ある?
滝澤:いやあ分かんないですね。どうだろう。
長澤:祐奈ちゃん、ないっけ?ない気もするなあ…そうなると、私も瑞菜さんも音響やったことあるから、例えば音響的な話とかしようと思ったらできるから。だけど、そうなると結構、そっちの班は難しい話。祐奈ちゃんどっちかっていうと、衣装のイメージが強いから。あと照明のイメージが強いかな。
滝澤:そうですね。。やっぱ、舞台ってなると何かつくるイメージが多いんで、なんか、何もつくらないってなると「舞台とは?」ってなっちゃうんで。そこの辺は今回は、埋められないんじゃないかなって。あとはレイアウトをひたすら見やすくするしかないのかな、と。
長澤:うんうん、そうだね…。難しいなあ。なんかその、私は映像送る側だから分からないんだけど、スタッフさんって映像を観て、どういうスタンスでコメントするんだろう、って思って。
滝澤:2回くらい聞いてます。1回目はそんな頑張って聴かない。普通に用事をしながら聞くぐらいのスタンスでいて。で、なんか、聞き取りづらいなってところを秒数とかメモっといて、あとでちゃんと聞き返してみて、あ、ここはこうだったから分かりにくかったんだな、とか、映像見ながらだったら分かったな、ってやっていくのと、あとはまあ、舞台美術として映像見ながら、ここの動きはおかしくない?とか、ここの表情は?と思いながら書いてますね、日記を。まあでも、なんだろ、毎回稽古の返し(フィードバック)をしている気分というか笑
長澤:うんうん笑
滝澤:いやでも、俺、分かんねんだよなあ、って笑 正直。演出がいつもする仕事が僕らに任されてるところもあるじゃないですか。
長澤:に近い部分もあるよね。
滝澤:おっと、って思ってますね、やっぱり。
長澤:あはは。まだ初めの段階だと、舞台美術的な観点から毎回返すって難しいもんね。
滝澤:そうですね。。
長澤:だからどうしても、役者個人の演技に対するコメントも多くなるだろうし。実際私たちの班も割とそういう部分もある。やっぱり音響的な部分だけじゃなくて、ここが聞き取りづらかった、ここの喋り方の癖がこうだ、とかこういう印象を受けた、みたいな感じになるね。
滝澤:ちなみに、みゆさんはどういう課題があるんですか?喋り方的に。
長澤:あのね、語尾が途切れる。語尾まではっきり発音してない。あと早口?
滝澤:はいはいはいはい。早口は確かに、僕の班もありましたね、はい。どうしてもこう、読んでるときとインタビューされてるとき(の話し方)って違いますよね。
長澤:うんうん。
滝澤:あと多分、みゆさんは割と、普通に話してても早口な方だと思ってるので。
長澤:や、それはそう笑
滝澤:へへ。なかなか癖って直しづらいですよね、って感じです。

~中略~

長澤:祐奈ちゃんのところは、具体的な話が多い脚本。だよね?
滝澤:そうですね。実際のエピソードを思い返すのが多いんで、割と。
長澤:そうだよね。そういう、具体的な話と舞台美術、難しいな。
滝澤:そうですね。だから僕がアドバイスしたのは、インタビューの中で、実際のエピソードを思い返すパートと、割と抽象的というか、観念的な話をするパートがあるんですよ。それが大体、交互ぐらいに入ってると思うんですけど、その抽象的なパートの部分では、言葉を選び選び喋ってると思うんで、かなり間(ま)を広めにとってもらったのと、後は間を取ると同時に、ものをいじってもらうというか。(堀木さんが担当する箇所の基となったインタビューを受けた人は)割と暗い話でも明るくしゃべっちゃうタイプの人だと思うので、口調は明るくともマグカップを握ってるみたいな感じにして、不安を表すみたいな、感情表現みたいなのを言ったりはしてます。
長澤:うんうん。音的な感情と、視覚で見える感情とをずらしてる感じか。
滝澤:はい。
長澤:おもしろいね。私のパート、延々マイナス、延々マイナスって言ったらあれだけど、マイナス&抽象みたいな感じだから、すごい読んでて、めっちゃ(班の色の)ブルーって合うなあ、この部分、って思って。ほんとにブルーって感じなんだよなあ。あと抽象的な話多いから、自分をほとんど映してないことの方が多いなあ。なんか、今日も足元だけ映して、靴だけ映して、自分も顔映してないし、身体も映してないし。あとはもう、公園内の景色ぐるぐる撮ってたり。。どうなんだろなあ、稽古やってて広げないとやばい、ほんとに。
滝澤:広げないとってどういうふうに?
長澤:自分ひとりのアイデアだと限界がある。
滝澤:あ~、なるほど。
長澤:自分が日記で1つアイデアを出して、スタッフさんがこうしてみたら?って返してくれるけど、それってやっぱ絶対突飛にはならないじゃん。あくまで自分の提出物から提案できる、一回り広くなっている部分を提案していくじゃん。もっと全然違う、めっちゃあほみたいな提案にはならないことの方が多い。だからそうしてると、全然広がらなくて、やってることが。
滝澤:うーん、確かに。
長澤:自分の手の届く範囲だけになっちゃうから、もっとアイデア広げなきゃな。
滝澤:いやあでも、関わる人が少ない分、アイデア広げるのがまじで難しいですよね、今回は。

~中略~

長澤:今回の演出のスタンスも、私たちが考えたものから、めっちゃとんだところに演出をつけるんじゃなくて。やっぱりベースは私たちが考えたところに形を整えたり、あるいはもう少しこういう方法にした方がいいんじゃない、ってアドバイスをしたりって感じの演出だと思うから。そう考えるとやっぱり、こっち側でいろいろ試してみないと。試せる環境を、広げられる環境をまずつくらないとまずいよね。
滝澤:確かに。1つ思ってるのは視点に関して何ですよね。あの、視点は固定って話でしたけれど。
長澤:あ、うん。
滝澤:定点を固定にしなくてもいいんじゃないかな、と思ってて。あの、場面によって、こっちから定点で映してる場合と、こっち(先ほどとは別の角度)から定点で映してる場合とずらしていくのはありなんじゃないかな、と。
長澤:そうね。それは私もやりたいわ。今それをイメージして、手で撮ってる場合と、空を撮ってる場合と、空は固定のままこうやって(寝転がって)読んでたり。。それに近い感じなんだろうけど。確かに定点でいろいろ場所変えて、ってことはありなんだろうし、いっそ場所飛ばしたい、ってこともある。
滝澤:あ~なるほど?
長澤:場面転換で同じ場所にいるんじゃなくて、場所変えちゃって。
滝澤:それは全然ありだと思います。
長澤:ていう感じでやっていくのもありだなあ、と思いながら。
滝澤:そうですね。まあ場面転換で難しいのは、下手にそうやって場面転換してしまうと「あれ違う人の話になるのかな」とお客さんに思わせて、「あ、同じ人の話だったんだ」みたいになるのは怖いですけどね。。そこら辺も円居(まどい:合同稽古のようなもの)で話せたらなあ。

~円居と全体ミーティングが翌日にあるという話題から~

長澤:感覚としては慣れないよね。なんかこう、おんなじ日に円居もミーティングもあるし、あと結構、この手のzoomミーティングって夜が多かったから、14時~16時に円居っていうのも、おおっ!ってなるし。あともう家から出ないから曜日感覚はとっくのとうに失われてるし。
滝澤:確かに、、はは笑 それはそう。そっか、明日14日か…
長澤:そう、バレンタインだね、巷は。
滝澤:例年の卒公なら、つくってくれる方がチョコつくって、持ってきてくれたりして、わーい!ってなってたんでしょうね…でしょうね、って思ってしまいます笑
長澤:はははは笑
滝澤:みゆさんとかつくってくれたじゃないですか、なんか。
長澤:うんうん、つくるつくる。
滝澤:まじでうまいですよね、あれ、ほんとに。
長澤:ありがたやって言いたいところだけど、今はもうね…。

画像1

↑昨年は編者もこんな感じのお菓子をいただいた覚えがあります。ほんとにおいしかったです!ごちそうさまでした! ※画像はイメージです。

(春を感じた瞬間は?というインタビュー用の質問に対して)
長澤:今日暑い!
滝澤:暑いですね。2月なのになんかあったかくないですか?最近。
長澤:そうだね、そう。外出たんだけど。稽古で外行ったけど、裏起毛っぽいパーカーを着ちゃったの。そしたら暑くて。コートも着てたから。
滝澤:気温が高いっていうより、日差しが強いですもんね、めっちゃ。
長澤:日差し強い、日差し強い。なんか、2月なのに日焼けしそう、って思った。
滝澤:いやほんとに。よくベランダで本読もうとかするんですけど、今日なんか出たら真っ黒になりますね、絶対。
長澤:あははっは笑 ベランダで本読むんだ、いいね。
滝澤:読みたいな、って。ベランダの横で読んでるんですけどね。日光を取り入れながらというか。
長澤:なんか父親が結構、公園で本読んでて、ここの脚本の中に、「夏企画の写真撮影があった」って話を書いてるんだけど、この夏企画の写真撮影、小金井公園でやってたのね。
滝澤:はい。
長澤:で、この夏企画の写真撮影で小金井公園行ったとき、父親も小金井公園で本読んでて。
滝澤:はい。。出会ってしまったんですか?
長澤:私たちの写真撮影の集団と、そう笑 ベンチで。私たちの方からベンチで本読んでる父親が見えて。で、ちょっと何してんだあの父親は、って思って。
滝澤:ははは笑 何してんだ、ってかわいそうじゃないですか笑
長澤:ふふ。いや、夏だよ?30度越えてて、なんで日差しキンキンの中で本を読む?
滝澤:確かに。
長澤:インドアなのかアウトドアなのかはっきりしてほしい。
滝澤:はは笑

おわりに

 今回は、何だかいつも以上に稽古に関する深い話が聞けた気がする!!
それから、そうそう、みゆさんの分け隔てない優しさには、編者も入団当初、とても救われました…!(その節は本当にお世話になりました。)
それにしても、お2人が真剣に話されていた「稽古での困難」は今後どのように解決されていくのでしょうか…??完成に期待ですね。
滝澤氏、みゆさん、今回はご協力ありがとうございました!
次回のインタビュー企画は2/26日(金)に公開予定です。日差しと怖い話に負けず、お元気で!