過失器

「まあいいか、過失器使えば。」
彼は自転車で老人を轢いてしまった。老人は頭を強打して意識不明である。
彼は鞄からしずく型の過失器を取り出す。ダイヤルを中央から右へ回す。相手の方へ。
水蒸気が舞い、すべてが煙に巻かれてゆく。

やがて警察が来る。簡単な事情聴取を終えると、ろくに現場の調査もしないまま彼は無罪放免となった。逆に、老人遺族から慰謝料をもらう算段を立てている。

(了)

最近気づきました。これはショートショートではなくアイデアの種の種を放流してるだけなのでは、ということに。

それではまた。

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