転倒防止メガネ
わたしはよく転ぶので、母に転倒防止メガネを買ってもらった。
メガネをかけると、グラスの上にさまざまな表示が出る。わたしの歩幅や速度を瞬時に計算し、ぶつかりそうなもの、ころびそうなものがあるかを判定、グラス上にアラートを出してくれる。
ある日、転倒防止メガネをかけながら歩いていると、さまざまなアラートが一気に表示された。
理由もわからずわーわーと、ひとりパニック状態になっていると、うしろから知らない人の声が。
「大丈夫ですか?」
とやさしく声をかけられ振り返る。
にこっと微笑みかけてくる。目線はしっかり私に合っている。どきっとして顔が赤くなった私はメガネを放り投げて、「ああ、ちょっと」という声も無視して一気に駆けだして、石につまづきごろんごろんと坂から転げ落ちてしまった。
倒れこんだ私に、知らない人が小走りで近づいてきた。
「これはひどい。すぐに手当てしましょう。」
「だ、だいじょうぶです、わたしはだいじょうぶなんで。」
「大丈夫なことないでしょ。」
と私の手を握ってきたので、私はまた転げ落ちた。
(了)
もうちょっとやり方を考えないと、ちゃんと作れなくなってきました。
それではまた。
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