平成13年のベースボール

小さなドーム球場。僕たちは、県内の各市から集められた。
レペゼンホワイトストーン。僕は、ファーストを守ることになった。ばっちこい。
今日のピッチャーは、新山か。隣の市のチームでエース。新山、苦手なんだよな。なんか目がギョロっとしてて、心臓を掴まれそうな感じ。でもあいつも、結構ビビってるのかも。そりゃそうだ。相手は火星人。火星でいうところの、福島県あたりの代表選手らしい。
「一番 ライト 01011110 くん」
セカンドを守る賢志郎の母ちゃんがアナウンスをしている。こういうときは、0と1でアナウンスしてやるのが礼儀らしい。
01011110くんは四球で出塁。僕の守る一塁に来た。僕は彼を無視して、形だけベースに入っている。
さあやれ、新山。負けるな新山。
新山が足を上げる。僕はベースから外れ、バッターの方へ体を向けようとする。
と思ったところ。左利きの新山は牽制が上手い。僕はすっかり騙されて、新山の微妙にシュート回転しているボールを後ろに逸らし、01011110くんは二塁へ進塁した。新山、ごめん。

(了)

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