この物語はXXか?~FINAL FANTASY XVI感想~

○概要
 本記事は、ゲーム『FINAL FANTASY XVI』の感想を書いていく。自分と同じく、クリア済み向けのプレイヤーに読んでいただきたい。執筆がクリアの翌日であるため、事実と差異がある可能性はご了承いただきたい。
 あらかじめ記載しておくと、やや怒り気味である。それでも、なるべく感情を抑え、客観性のある文字になるよう心掛けるつもりではある。
 タイトルのXXはネタバレに配慮した空欄という意味合いである。クリア済みの方ならば、分かるのではないだろうか。





○アクションRPGとしてのFF16

 個人的な思いとして、ゲームというのは序盤から終盤にかけて『出来ること』が増えてほしい。それはファイアという魔法がファイラ・ファイガと強くなっていくようなことであり、攻撃魔法だけだったのが補助魔法が使えるようになっていくようなことである。
 そういう点で言えば、FF16というゲームで『出来ること』はあまり増えなかったように感じられた。勿論クライヴが召喚獣を取り込む度に使えるアビリティは増えていったし、最後に手に入るオーディンは元来の強さに違わないような爽快感を持ち合わせていた。
 しかし、召喚獣の枠は最初から最後まで3枠しかなく、アビリティも6つしかない。新たな召喚獣も、アビリティも、この枠の中でやりくりしなければならない。これがずっと辛くて仕方なかった。せっかくガルーダで相手の攻撃を躱していたのに、シヴァが出た途端にそっちを使いたくなってしまった。ストーリー的にラムゥを最後まで使いたいとも思ったけれど、タイタンブロックが高性能すぎてすぐに外してそれきりだった。
 勿論枠を増やすことでプレイヤーが操作に戸惑ってしまう可能性はある。それでも、『出来ること』は増えてほしかった。例えば、普段使っている攻撃や魔法について、召喚獣が増えることで組み合わせて攻撃出来るようにするとか、単純にアクションとして強化されるとか、何かやり方はあったのではないか、と想像してしまう。
 一方で、という言い方になってしまうが、敵のバリエーションは多彩だった。段々と攻撃の合間の隙はなくなり、回避や防御を使わなければ一方的にやられることも多かった。なのにこちらは、ある程度決まりきったスキルを順番に使っていくばかり…………終盤はプレイするのが辛く感じられた時もあった。
 本作の体験版には、ストーリーの序盤を体験出来るだけでなく、アクションRPG部分を体験出来る特別なモードがあった。ゲーム本来の進行とは異なり、序盤ながらに三体の召喚獣が使えて、この時に感じた面白さがそのまま購入へと繋がっている。しかし……本編がこの面白さを超えてきたかというと……正直怪しい。『出来ること』(召喚獣・アビリティ)は増えたけれど、『出来ないこと』(枠の制限によって、既存の召喚獣が外れる)も増えてしまったからである。
 それでも、このゲームを最後まで続けられたのは、ストーリーを最後まで見届けたいと思ったからである……のだけれど……。

○物語としてのFF16

 この物語は幻想か?????????????????????? クライヴやジル、ジョシュア、そして隠れ家の仲間たちが戦ってきたこの物語は、本当に幻想と言っていいのか??????????????????

 エンディングを見てから、ずっとこの熱に駆られている。
 この点がほんとうに納得がいかない。彼らの物語が本として書かれ、『ファイナル・ファンタジー』という名が付いて、遠い未来でおとぎ話となったことが、ほんとうに。
 魔法がどうなったのかを描くだけならば、端的で美しい表現だったと思う。それはおとぎ話になって、幻想と呼べるようになったのだと。
 しかし『FINAL FANTASY XVI』の物語は、それだけを描く物語ではない。決してない。絶対にない。ベアラーという普通の人間とは異なる存在がいて、彼らの迫害や困窮がひたすらに描かれていた。クライヴは弟殺しを悔やみながら、マザークリスタルを破壊するという大罪を背負ったままに『人が人として生きていける場所』を作ろうと必死に戦ってきた。
 その結末についてプレイヤーが見ることを許されたのが、たった一冊の本だなんて、正直許せない!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 アルテマが語ったように、神を喪失した未来には混乱が待ち受けているというならば、それに彼らがどう立ち向かったのかを描いてほしかった。『人が人として生きていける世界』が果たされたかどうかと同じくらい、いや、それ以上に、その世界のために人々がどう尽力していったかを、描いてほしかった。
 何より、何より絶対に、『人が人として生きていける世界』を望んだクライヴが、そこにいてほしいんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!
 主題歌で絆されそうになったけど、『もう一度月を見よう』って約束は、果たされてほしいんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 魔法がない世界に於いて、魔法があった最後の世界を『ファイナル・ファンタジー』と称する理屈は分かるし、ナンバリング作品のエンディングとして綺麗に終わるのも分かる。
 それでも! それでも!!!! 俺がコントローラーを50時間以上握って追い続けてきた物語は、決して幻想じゃない!!!!!!!!!!!!! ちゃんとあったんだ!!!!!!!!!!!!!! その行く先を、つかみ取った世界の姿を、見届けさせてくれよ!!!!!!!!!!!!!

 きっと、ゲームのタイトルを見る度に、この熱に駆られてしまうだろう。


○最後に

 感情が抑えられない記事になった。
 それでも、今書いておきたかった。
 それだけ、熱を入れて書きたくなるほどに、最後までキャラクターたちのことは応援することが出来た。クライヴがトルガルと秘密の場所に行く時、普段とはまるで違う柔らかな声色で話しかけていた時、とても嬉しかった。生きるのに必死なジョシュアが、ジルとクライヴを気遣う様子がとても微笑ましかった。ガブ死なないでよかった。シド死なないでほしかった。サブクエストによって『人が人として生きていけない場所』の過酷さと、それでも生きていこうとあがき続ける人々のたくましさが描かれたのは、ほんとうに良かった。
 だからこそ、だからこそ、この結末に対しては、熱を入れた文字を書き残しておく。