24/25 PL MD1 MUNvsFUL

はじめに

　EURO,COPA,オリンピックを挟んだ短いオフシーズンが終わり、Community Shieldを経て、ついに2024/2025 English Premier Leagueが開幕した。我らがManchester UnitedはFulham相手にシーズン最初の試合を任され、他のチームより一足早く日本時間金曜深夜28時キックオフとなった。
　ここではその開幕戦を振り返っていきたい。

フォーメーション

　まず、スタメンと途中交代は下の通りになった。下のUnitedは433表記となっているが、Mainoo,Casemiroの2ボランチによる4231とも見られる。
見方は、背番号とともにピッチ内に並んでいる11人がスタメン、ピッチ外の4人が出場のなかった控え、スタメンの名前の下にある時間(分)は途中交代ないしはポジション変更の時間でポジション変更の場合は移動先のポジションが時間の横にあり、時間の下にある選手名は交代で入った選手、入った選手がポジション変更を伴う場合は入った選手の横にそのポジションが記されている(見にくかったらすみません)。

前半

　開始直後はFulhamが前に出たが、Unitedがボールを落ち着けるとCasemiroが2CBの右ないし中央に落ちてMainooがへその位置(アンカー)に入って3151でボールを回す。対するFulhamはSmith-Roweが1列上がる(ジャンプ)442のミドルセットとなった。また、Brunoはボールを受けに降りることが多かったので、Mountがトップに押し出される形となることが多かった。
　反対に、Fulhamがボールを持った時のUnitedは、MountがBrunoと同じ高さに上がって442で守備をする。この利点は、Mountが左側,Brunoが右側とプレスを分担できるため、Brunoが一人でプレスに奔走することを制限できることである。
　前半に特に目立ったのは、Mainooによるボール回収であった。この要因は、MountとBrunoが制限をかけた上でMainooとCasemiroが並ぶ形やネガトラ(ネガティブトランジション,攻撃→守備の局面)の際に適切なポジションにMainooが攻め上がらず残っていた点、攻め上がった場合も即時に反応して前にボールを狩りに行ったことが挙げられる。
　全体のこととしては、ネガトラの際に徹底されていた約束事があった。それは、ディレイできなかった際はファールも辞さずに止めることだ。
　また、セットプレーにおけるCasemiroのヘディングの強さも際立っていた。度々ターゲットとなっては良いシュートを放っていた。
　ただし、前半で1番目立ったのは他でもないFulhamのGK Lenoだった。CKで出てきてのパンチングやBrunoの2つの決定的なチャンスを飛び出して阻止など大仕事をやってのけた。

後半

　後半は冒頭のMaguireの前に潰しに行く守備(迎撃)を取り上げたい。Maguireはご存じの通り、純粋なスピードはないものの、コンディションが良い時は良い判断力があり、相手が楔の縦パスを差し込んだ時に、その受け手に対して前に出てパスを収めさせないことができる。
　次に、Rashfordのプレスバックについてだ。Rashfordと言えば、以前からその希薄な守備意識で批判に晒されることがあったが、昨季の終盤から相手の右サイドにボールがある時に前線から帰陣して相手にプレッシャーをかけることを頻繁に行っている。効用としては、相手が予期していなかった状態で出てくることでボールを奪取できることや相手の頭に少しでもプレスバックをされるという意識があると攻め手が若干でも緩むこと等が挙げられる。
　最後に取り上げるのは得点シーンだ(お待たせしました)。87分にCasemiroとDalotのダブルチームでIwobiから奪うと、Dalot→Onana→Martinezと繋ぎ、Martinezが左タッチライン沿いで縦にいたBrunoにパス、Brunoは体で相手をブロックしてボールを通過させキープし、キックフェイントを入れて中央に降りてきたZirkzeeにパス、その隙にMcTominayが最前線に上がり、ボールはZirkzeeから右サイドを上がってきたCasemiro→Garnachoへ、GarnachoのクロスにZirkzeeが後ろから入ってワンタッチで流し込んだ。Zirkzee、PL初ゴールをデビュー戦で決めた！おめでとう！このプレーの連続性は目を見張るものがあった。また、スムーズにサイドチェンジを行ったために、相手の目線を振ることができたことが大きかった。
　その後は、同点を目指したFulhamの攻撃を封じきって、2度ほどあったチャンスをふいにして、今季のPL初戦で見事に勝ち点3を獲得した。

MOM

　メディアや多くの方は、決勝点をあげて鮮烈なUnitedデビューを飾ったZirkzeeを挙げるだろう。それ自体には何の異論もないが、ここでは別の視点からMOMを挙げたい。この試合のMan Of the Matchは攻守に素晴らしい活躍を見せて、こちらも素晴らしいデビューとなったMazraouiだ。加入から間もないにもかかわらず、遺憾なく実力を発揮し、攻撃ではビルドアップのために頻繁にポジション移動を繰り返したりAmadのサポートをしたり、守備ではネガトラ待機で良いポジショニングからのタックルや1対2の絶体絶命の場面での的確な動きが光った。これからよりフィットした時に魅せてくれるであろう更なる輝きに期待せずにはいられない。

総括

　多くのチャンスを作った前半とよりオープンな展開になって決勝点となる先制点を得た後半の中で、チームとして4局面でやりたいことがよく見えた試合となった。新加入の選手も順調な適応を見せているように思う(Zirkzeeの線が太いのは気になるが…)。注文を付けるとすると、押し込んだ前半のうちに先制するべきだったことと、数多くあったチャンスを1つしかものに出来なかった決定力だろうか。しかし、シーズン初戦ということを考えれば、十分であろう。
　次戦は日本時間2024年8月24日20:30K.O.のアウェイBrighton戦となる。苦手意識があり、8月に強いBrighton相手にどこまでやりたいことができるか注目して観たい。もちろん、サウスコーストから勝ち点3を持ち帰ろう！

Come On, United!!