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コーヒー共和国誕生1周年特別企画!共和国のこれまでとこれから〜井崎英典インタビュー✴︎前編

井崎英典主催のオンラインサロン「コーヒー共和国」がついに1周年を迎えました!

今回は1周年記念企画の1つ、2020年11月某日にzoomで行われた井崎氏のスペシャルインタビューをお届けします。
インタビュアーは共和国民の関口照輝。
ボリュームたっぷり、初出し情報有り!の前後編。今回は前編です。

「共和国」という国を通して「アウトプット」


関口:ではまず初めに、共和国を開国してみて実現できた事、難しいと感じている事等を伺いたいと思います。

井崎:共和国と題している以上「国」を想定しています。つまりメンバー1人1人が民主主義社会のもと、自分達がやりたい事を僕やコーヒー業界のシステムを使って実現していく事が大きな目的としてあります。コーヒーという共通項のもとで人がつながっていくという意味では少しずつ動きが出てきましたね。

一方でコロナの影響もありますが、思った以上にアウトプットができませんでした。もっとメンバーの積極的なアウトプットが欲しいな。「こういう事やってみたい」と勝手に進めてもらう事が重要です。

メンバーの皆が共和国という国を通して、やりたい事を実現する事が非常に重要で、積極的に動いてくれた皆様の方が得だというか、フル活用できるんじゃないかなと思います。もっともっとアウトプットが欲しい。

僕はイケイケどんどんタイプなので、数を打たないと何が当てはまるかわからないじゃんっていう。「いいかなー?」「だめかなー?」って思うよりはとりあえずやってみる。やってみて当然滑ることもいっぱいあるけど、いちいち凹んでいてもしようがないのですからね。

共和国メンバーの良いところは、コーヒー以外の仕事をしているメンバーが多い事です。皆さんの専門知識を生かせばめちゃめちゃ面白いことができると思います。

その1つが今回の※ロゴだったと思うんですよ。

(※ロゴプロジェクト:コーヒー共和国発足1年の記念にメンバーでロゴを作成したプロジェクト。デザイン関連の仕事をしている関口を中心に多様なメンバーが集まってアウトプットしたプロジェクトの1つ)

メンバーである関口さんが中心となってロゴを作ってくれましたよね。共和国という国を通して、1つですけど世に出せるアウトプットができたじゃないですか。これはすごいなと思いました。オンラインからオフラインにアウトプットしていく、その過程とスピード感が素晴らしいなと思っています。

コーヒーだけでなく「サウナ行ってましたね!今度行きましょう!」みたいに、サクッとスピード感を持って動くことで、そこからアイデアが出てくると思うんですよね。コーヒーばっかりだと面白くないですし、皆が同じ事やってるじゃないですか。コーヒー以外のインプットを積極的にしていかないと面白いアイデアは出てこないと思うので。そういった意味で皆様(国民)はとても貴重な人材です……

ふらっと入れるオンラインサロンではやりたいことはできなかった


関口:開国にあたり、不安だった事はありますか?

井崎:メンバーが集まるのか不安でしかたなかったですね。その当時コーヒー業界でオンラインサロンをやっている人は誰もいなかったんです。オンラインを使って何かをしようという動きが全くその当時なかったですね。

Facebook上に「メニューの無いコーヒー相談店」があるんですよ。そこには千何百人のメンバーがいます。それはなぜかって、タダだからです。ですので、お金を支払い、自分でアウトプットしてまで向上したいという人がどのくらいいるのかが不安でした。

共和国の月額料金って決して安くないですよ。一般的にはだいたい3000円。うちは5000円です。中には何千人といるものすごい巨大なオンラインサロンもあるけど、僕は儲かりたいというより、面白い事したいなって思っているだけなんです。

逆にいうと1000円くらいでふらっと入れるオンラインサロンでは僕のやりたいことはできないんですよね。メンバーの質が下がるなと思っていまして。結果としてうちの継続率は非常に高いので、当初の狙いは達成できたかなという感じです。質の高い方が集まってきてくれています!みなさんありがとー!

付加価値を作れないバリスタは切り捨てられる時代


関口:次に、井崎さんは今年30歳の年だと思うのですけど、この年齢からご自身がコーヒーを通じどのような価値作りをしたいのか伺いたいと思います。

※笑顔でヘビーな鋭い質問を迫る関口
※ヘビーな質問に困る井崎

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井崎:自身の話の前に、まず業界の現状をどうみているかというと……間違いなく厳しいですよね。コロナになって多くの飲食店が苦しんでいる事は間違いない。サービス業に次いで飲食業が倒産件数ナンバー2らしいので。飲食店の中でもレストランが一番厳しい。なぜかというと固定費が高いからですね。

コーヒー業界はどうですかというと、固定費は安くはないですがレストランほど高くは無いので、究極1人で営業、個人商店レベルなら店を閉めて補償金をもらえばなんとかなる、みたいな状況です。

僕はどう考えているかというと、この状況が長期化した場合、じわじわダメージを受けるのはコーヒー業界だろうなと思っています。やはりコーヒー業界は厳しい業界ですし、自分自身も変わらないと、と思っています。

その反面なんですけど、業績がこのコロナ禍においても変わらなかった店舗は、地元密着型の店舗なんですね。それは世界的にも同じ。日本だけではなくアメリカでもヨーロッパもそうだし、アジア圏もそうなんですけど、結局地元密着の店舗はこういった状況でも売り上げが変わらない。寧ろ増加している事業者もいます。

なぜなら確固たる常連さんを掴んでいるからです。スナックとかってママに会いにいくじゃないですか。「スナックに行く」ではなくて「ママに会いに行く」っていう感じだと思うだけど、それと同じく常連客をオフラインでがっつり掴む重要性を感じています。

例えば「コーヒーを飲みにいく」ではなくて、「関口さんに会いにいく」っていうお店が強いなっていうのが、コロナ禍における事業運営でよくわかったんですよ。

コーヒー業界で売上を伸ばそうとする場合、多店舗展開がメジャーですよね。コーヒー屋の収益構造としてはトップライン・売上がそこまで伸びない。なぜなら単価が低いんで。だから1日何百杯作ろうが結局5~10万くらいとなる、そういう業種です。基本的に営業利益は極端に少ないです。

したがって売上拡大の道は多店舗展開ですよね。各店舗が一定の売上を安定して生み出し売上を積み上げるというモデルです。だから今回みたいに全く予期しないイレギュラーな天災が起きるとキャッシュが回らなくなるんです。

キャッシュが回らなくなると、コストを下げなければなりません。コスト削減の対象となりやすいのは人件費なので、バリスタが対象となります。僕は正直悲しい気持ちですし、腹も立ちます。バリスタって尊い職業で1杯のコーヒーで人を幸せにするという仕事ですからね。すごい職業ですよ。

付加価値を作れないバリスタは切り捨てられる時代になるとも思ってます。そもそもなんですけど、僕が作るコーヒーとペーペーが作るコーヒーがなんで同じ値段じゃないとダメなんですかね?笑 

僕は15年分の血反吐を流しながら積み上げてきた努力と経験をつめ込んで1杯を作る。その1杯とペーペーのコーヒーの価値は同じで良いの?ということです。

でもコーヒー業界は同じですよね。なぜ誰もおかしいと思わないんだろうと思ってます。海外も一緒ですよ。僕が作るのも、※ササが作る1杯も。※マットが作る1杯も同じ。なんでですかって僕は思うんですよね。

(※ササ、マット:Ona CoffeeのオーナーでありWorld Barista Chamipionship 2015優勝者のSasa Sesticと、世界中に4万人以上の会員を持つ最先端のコーヒーウェブサイト「BARISTA HUSTLE」CEO兼「BARISTA HUSTLE JAPAN」共同代表、World Brewers Cup Championship 2012優勝者のMatt Pergerのこと)

ミシュランの制度。「店に行っている」ではなくシェフに会いに行ってる。星はシェフについているんです。それと同じようにもっと独自化させていかないと難しいだろうなと思うんです。

僕はコーヒー業界をどうしていきたいかという偉そうな事を言うことは微塵もなく、先輩方がやってきてくれたから今があるわけです。僕の義務はというと考えうることを数打って出しまくる事でしかないと。その内の9割くらい失敗するんですけど、1割が成功すればそれでいいじゃないですか。

僕の1つの目標というのは、バリスタが一流の給与を貰えて家族を養えることなんですよ。そのためのビジネスモデルを作っていきたい思ってます。

だからこそ付加価値の創造は重要です。WAGYU MAFIAってブランドがあるんですが、目が飛び出るほどの高級食材をラーメンにしちゃったり、カツサンドにしちゃったり、とビックリするような食材の使い方しているんですね。最早ウマイのなんて当たり前で、その先にあるエモーショナルな美味しさを追求してます。

コーヒーに置き換えて考えてみるとどうでしょう?例えば、圧倒的にいい豆を買い付けて、それをフラペチーノにしちゃう。しこたま怒られそうですが、そういうふうに付加価値を作れるかなと思っています。

関口:コーヒー業界って「やっちゃダメ」みたいなそういう空気感みたいなのはあるんですか?

井崎:コーヒー業界はめちゃめちゃコンサバですよね。上下関係も厳しいですから。ふざけたことやっていると怒られるんじゃないかな笑 

コーヒーってほら、こだわりが強い人が多いじゃないですか。例えばスペシャルティは間違っている、深煎りは悪だ!みたいに。嗜好性が極端に強いのがコーヒー業界です。

だから僕は一生懸命その枠から自分を外そうとしています。うーん、既に外れたと思うかな。この2、3年ずっとコーヒー業界の当たり前から外れた枠外で思考してきているので。

ほら、僕は今何やっても許容される傾向あるじゃないですか笑 スパイスとか入れまくったコーヒー牛乳を出しても「何やってんの」「でも井崎ならやりそうだよね」みたいになっているんですよ。これ僕的にはブランディングの成果だと思ってるんです。これがゴリゴリのスペシャルティ1本でやってきた人だとできないと思いますね。

(後編に続く)


井崎英典:

1990年生まれ。福岡県出身。高校中退後、父が経営するハニー珈琲を手伝いながらバリスタに。法政大学国際文化学部への入学を機に、(株)丸山珈琲に入社。2012年に史上最年少にてジャパンバリスタチャンピオンシップにて優勝し、2連覇を成し遂げた後、2014年のワールドバリスタチャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンとなる。現在はコンサルタントとしてグローバルに活動を続け、年間200日以上を海外で過ごしつつ、コーヒーエヴァンジェリストとして啓発活動を行なっている。

https://instagram.com/hide_izaki?igshid=790ufzkfqtg9

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関口照輝:

大学卒業後、株式会社ユニクロに新卒入社。その後、株式会社リクルートライフスタイルにて、飲食事業領域を担当。2016年、ラーメン専門店「一風堂」などを展開する株式会社力の源ホールディングスに入社し、採用・教育責任者として、グローバル採用や、大学での非常勤講師、領域を横断した企画などに従事。2020年3月に独立。現在は、人事領域やデザイン、ブランディング業務を行っている。
趣味は「一杯のコーヒーと共に過ごす時間を楽しむこと」。

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https://instagram.com/teruki_s?igshid=14wcb014ra6ln

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