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#夏

「詩」初夏の願い

夢の中 青い法衣を纏った 男が仄暗い石堂の中から 私に語り掛ける “ お前は知らないのか  …

Norito Takechi
4週間前
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「詩」夏の幻影

草原の風が 二人を包み込んでいた日々 あなたは少しだけ 私に似ていた その手に触れることは …

Norito Takechi
9か月前
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「詩」晩夏

眩い日差し 唐突な雨 路上の冷気 終わりかけの八月 遠雷 窓を滑り落ちる水滴 予定のない午…

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「詩」夏のバス停

午前二時の街は 水銀灯の 淡い光が灯り バス停では一人の幽霊が 来るはずもない バスを待って…

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「詩」晩夏

燃え尽きた花火 漂う煙 濃い灰色の中に 亡き人が立ち尽くす 私は頭を抱える 秋の虫の声を嫌う…

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「詩」夏の野

風が通う家に あなたを残して 白い扉を開き 私は玄関を出る 外に広がるのは 光る夏の野 私は…

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「詩」それぞれの海へ

渋谷のスクランブル交差点の人達が 鈴虫の羽音の中へと消えていく 僕は誰もいない渋谷駅のホームから 品川方面の山手線に乗り込む 浮輪やビーチボールを持った人たちが 車内で抑揚のない笑みを浮かべている 列車は名前のない駅に着く どこからか潮の香りがする もう夏は終わっているのに 人々は皆 それぞれの海へ帰っていく 僕も帰っていける気がする 僕が生まれた街へ 僕が生まれる事の出来なかった場所へ しかし扉は閉まり 列車は恵比寿へ向かう