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2022年7月の記事一覧

「詩」彼方の町の駅

駅のホームに ホイッスルの音が響く 雑貨や果実を 買い込んだ人々が 列車に乗り込み 談笑して…

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「詩」工場の月

機械油の匂いのする温風が 水銀灯を滑らかに揺らす 造船所の一画で私は 光線を放ち続けている …

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「詩」私だけの海

地下に海を作る 誰もいない 誰も来ない 静謐な 波の音だけ 響く場所 意味もなく パラソルを…

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「詩」地下聖堂

地下の聖堂 灯された蝋燭が 古いモザイク画を 照らしている 食卓には パンとスープが並び 僧た…

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「詩」二度寝の朝

太陽に祈るための 祭壇は遥か高く 一人の女が 長い階段を昇っていく 白い衣を纏った 女の身体…

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「詩」あなたの灯火に

あなたの家に あなたの部屋に あなたの側に もう 着いているのに あなたの髪に あなたの頬に …

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「詩」砂浜の幽霊

夜空には満月が浮かび 砂浜は淡いブルーに染まっている 体操座りをした幽霊がポツンと 砂浜から遠くの闇を眺めている 何を想っているの? 僕は幽霊の隣に座ってみる 彼は何も話してくれなかったけれど きっと光のようなものを 探しているのだろう 立ち上がると涼しい潮風が 夜の粒子に溶け込んでいく 一匹の白い子犬が寄ってきて 頭を撫でてやると 嬉しそうに砂浜を駆けていく 海を離れて海岸線の道路を渡る 信号機の近くに小さな喫茶店がある 真夜中の店内には誰もいない ロウソクの炎のよ

「詩」夏のバス停

午前二時の街は 水銀灯の 淡い光が灯り バス停では一人の幽霊が 来るはずもない バスを待って…

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