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彼を乗せたバスが刻々と遠ざかっていく。
もう踏切まで差し掛かっている。

後悔はないか、
言い残したことはないか、

急に出て行くと彼が言い出したのは昨夜。
そして次の日の昼にはバスに乗りこんだ。

いや、言い残したことは在る。
必ず在る。
すべてが唐突ばかりの所業だったから。

もっと彼には感謝を伝えておくべきだった。
この村はもう長くない。
どう頑張っても、私一人だけの努力じゃ、
これ以上、わざわざ立ち寄って来るお客は望めないだろう。

これからは、
私らにとって絶望の冬となる。

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