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空間のささえびと

 庭師は何を考えているのだろうか…
私たちはあの整った芝生や咲き開けた原を見たとき、それらの光景にみとれてしまう。この完全景の首謀者の存在は知りつつも、何故か思い出す前にほかの次へと関心が移ってしまう。
一方で、庭師はどんなことを考えながら、私たちを見ているのだろうか。あるいはそもそも庭師は私たちを眺められない場所に居るんじゃなかろうか。だって、もしそのような場所に居たら、きっと私たちも彼の存在に気づき、より一層の興味が庭師に注がれること間違えなしであるからだ。
そう、だからこそ、この仮定が真実であれば、庭師は観覧者を見ることなく、ただ美しきという究極の目標だけを見据えて、仕事に専念しているわけだ。


 展示室の角に座るスタッフの方は何を考えているのだろうか…
展示品を見に訪れる人には、本当にそれを観たい者から、家族あるいは友人、彼氏、彼女との付き合いでただ居る者、暇の時間つぶしで訪れる者までと様々だ。であるから、入口から出口に至るまで数分で済む者から、数十分とじっくり要する者と大別されるわけだ。そんな折、私たちの口からついつい漏れる言葉”これって何。何でこんな絵を描いたの。この作家は誰なの”。こんな呟きを聞いてしまった彼らは敏感にも身体の一部が動くはずだ。”これはですね~~”と。
それでも、説明を求めていないお客さんには強引に突撃するわけにはいかない。だから、しょうがなくお口チェック。頭の中では、「それは・・・なので、・・・なんですよ」とセリフが上下左右に飛び交っているはずだ。
辛抱が付きまといながらも、必ず展覧会で必要とされる存在であることは間違いない。

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