見出し画像

推し疲れなのか、推しを”推している人たちの熱量”に疲れるのか

先日この記事を読んで「取材相手は果たして推し疲れなのか?」と疑問に思った次第である。

推しもオタクも千人千色

一概にオタクとはいえ、アニメ、アイドル、バンド、夢の国、スポーツ選手、俳優、声優、キャラクターと様々なジャンルの推す対象がいる。

ここまで多岐に渡るジャンルがあるので推し方も様々である。

例えば、私であればバンドが大好きなので現場主義のライブオタクだ。他にも握手会などに頻繁に通う認知オタク、従来のオタクの定義であるCD・グッズコンプリートオタクなど、様々な人種がいる。

こうやってオタ活しているうちにオタクを自称するならCD全部持ってて当たり前、ライブは全通して当たり前、メンバーに顔を覚えてもらって当たり前、と謎ルールにぶち当たる。

誰が決めたルールなんですかね?

確かに事務所の売り方で嫌気が差したり、方向性が変わってしまったりして離れること人もいると思うが、それは記事内で提示されている”推し疲れ”ではなく”冷めた”だけでは?と思う。推しに冷めたことを”推しのせい”にされても見当違いだという話だ。

「推し疲れ」ではないなら何なのだ?

昨年ぴあのデータでコロナの影響でトータル約5800万人規模のイベントが中止・延期になったというデータが発表された。単純計算で言えば、日本の人口の半分の楽しみが奪われているのだ。

では取材を受けている彼が「推し疲れ」ではなく何かと言ったら、主に3つの理由が挙げられると思う。

①燃え尽き症候群になった
②我に返って冷めた
③トップオタと同じ熱量で応援していくことに追いつかない

まず1つ目が「燃え尽き症候群」。推し疲れに一番近いだろう。
仕事と一緒で終始力量マックスでやっていたら「燃え尽き症候群」になり、最悪は鬱に近い状態まで陥ってしまう。それは推し活でも同じことは言えると思う。消えたキャンドルに火を灯しても火が付かないのと同じである。

2つ目が「いつ燃え尽き症候群だということに気づくのか」という点で、記事内で提示されている通り「コロナで強制的に推し活が思うように出来なくなったこと」が挙げられると思う。記事で取材した元オタクは「今は楽しいけど何が残るのだろう?」と我に返っていたが、ドルオタの彼がオタクを卒業したのはこれが理由だろうと思う。

特にコロナで現場やイベントなど軒並みなくなり、従来のオタ活が出来る機会が奪われて、我に返った人がこの一年で多かったのかもしれない。
実際私もそうで、コロナ前は「行けるだけライブに行こう」とやたらめったらチケットを取って遠征は当たり前、月に多い時は5本以上の様々なバンドのライブに行っていたけど、今は感染防止のため厳選して最小限のライブに行くようになった。

これらを踏まえて、最後3つ目が「トップオタと同じ熱量で応援していくことに追いつかない」ことが最終的に挙げられると思う。

毎回必ずライブに駆けつけ、毎回グッズを全部買いしているトップオタの熱量とバイタリティは褒めたいものだが、こうして仕事や生活費や睡眠時間を削ってまで推しに愛を注げる人は類稀である。一番熱中していた頃と全く同じ熱量で、周りの人間と全く同じペースで推し活をしていくことは誰もが出来る訳ではない。

推し活に疲れたり冷めたりする原因はこれら全て一部だとは思うが、他にも同じファンと揉めて現場に行きづらくなった、仕事で海外に行くことになったり、結婚して子供が生まれたなどでライフスタイルが変わって従来のように推し活に時間もお金がかけられなくなった、違う推しが出来たなども理由としてあるだろう。

彼らは”推し”に疲れたのではなく、”推しを推す人たち”や”推しを取り巻く人間”に疲れてしまったのではないだろうか。

推し活に”当たり前”も”必ず”も無い

私も周りからはライブのために働いて有給を紹介していると思われているが、複数推しバンドがいることもあり、推し活に関してはマイペースな方だと思う。

新曲は発売日ではなく欲しくなったら1ヶ月遅れて買うし、ライブは全通ではなくても1本だけ行くし、ブッキングしたら行かないライブもあるし、逆に行きたかったら全国どこでも飛ぶし、グッズは欲しいものがなかった買わないことも多々ある。

必ずライブやイベントに参加する必要も、必ずグッズを全部買う必要も、同じ推しを推すファンと”必ず”同じ熱量で推し活する必要なんてないんですよ。

「推し活」はあくまで趣味であり、義務でもルールでも無い。グッズは欲しいものを買いたい時に買って、ライブには行きたい時に行く、それでいいと思う。

推し活に疲れたって、好きだったはずの冷めたって、せっかく同じファン友達ができても「推しに悪い」と思わないでいいと思う。推し冷めて使っていたお金は自分には何も残らないと思ってしまっても、あの時は楽しくやっていたのだから、オタクとして熱中していたあの時期はきっと財産だ。

推し活も計画的に、だけどたまにぶっ飛んで。

最後までお読み頂きありがとうございます!頂戴したサポート代はライブハウス支援に使わせていただきます。