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「日本語は美しい」そう改めて思えるロックバンドがいる。【神はサイコロを振らない】

「夜永唄」が高校生の間で話題となり、その人気からYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」シリーズの「THE HOME TAKE」にボーカル・柳田が出演し、今話題のロックバンド「神はサイコロを振らない」

神サイはこのバンドは絶対売れると、なんなら私が世に知らしめてやる、と出会った時から本気で思っていたぐらい確信していました。信念でしかなかったです。それぐらい心の底から大好きで、歌物のバンドで唯一好きなのが神サイです。

いつかご紹介しようと思っていたのですが、今こそご紹介しようと思います。

福岡県出身のロック・バンド。通称は“神サイ”。
メンバーは柳田周作(vo)、吉田喜一(g)、桐木岳貢(b)、黒川亮介(ds)の4名で構成。2015年6月に結成。

バンド名は物理学の父アインシュタインの言葉に由来し、“型にはまらない、誰にも出せない音を生み出し続ける”という自らが定めた絶対的な法則で切り開いていくとの意味を込める。

現在はメンバー全員上京している。

幻想的で儚いメロディ、ボーカル柳田周作の甘く力強い声、日本語の美しさを最大限に活かした歌詞、唯一無二の世界を創るロックバンドだ。

所属事務所は初期はART LOVE MUSIC、途中で事務所を退社しフリーで活動、そして今年の6月よりアミューズに所属。

神秘的なエメラルドグリーンの泉のようで、触れると想像通り刺さる冷たさをしている。触れた水面は何十も弧を描き、穏やかに音を立てず布のように揺れ、やがて何事もなかったかのように消える。

「恋愛」の切なさと孤独を「情景」の美しさに重ねて表現する柳田が選ぶ日本語の奥ゆかしさに定評がある。
その美麗な和を感じさせる日本語はただ美しいだけではなく、ロックバンドならではの丁寧で重厚感のあるサウンドによって力強さも加わり、存在感の強い音楽となっている。

曲を聴いて真っ先に響くのが柳田の歌声。甘く訴えかけるような力強いローボイスに、耳元で囁くようなウィスパーボイスを上手く使い分け、表現力に長けている。楽器隊も非常に演奏力が高く、静寂ながらも安定感があり落ち着きを感じる。

儚さと美麗を兼ね揃えた情緒のある音楽は、今大変希少だ。

神サイとの出会い

2016年、まだコートが手放せない肌寒い春のことだった。
私は絶賛就活中で、だがしかし特にやりたいことなどなくなんとなくスーツを着ては電車に揺られ、会社説明会に行き、取り繕った学歴と資格取得以外嘘の塊である履歴書を書いては提出し、周りに合わせていた日々である。

ある日新宿で会社説明会があったので初々しいスーツ姿のままで帰りだったかに新宿のタワーレコードに寄った。

真っ先に耳に飛び込んできたのが、甘くて力強いストレートな男性の歌声だった。

当時地元の福岡で活動していた彼ら。「神はサイコロを振らない」というバンドらしい。「秋明菊」の500円シングルがタワーレコードの新宿店限定で発売されており、それがたまたま近くで流れていたのだ。

CDで500円なんて破格だ。だが就活中の私、大好きな音楽でも金欠で500円すら出せず、この時はただの衝動買いだと思いCDを買うことを避けた。

家に帰って早速YouTubeをチェックした。当時サブスクリプションが普及しておらず、まだ結成したばかりで「煌々と輝く」「秋明菊」の2曲しか上がっていない状態だった。あまりにも好きな世界で、何度も何度もiPhoneの通信制限がかかっても無理して聴いた。

後日、また新宿に用事があったのでついでにタワーレコードに寄った。以前と同じ場所にあのCDが置いてあった。数週間前に手には取ったけどレジまでには持っていかなかった500円のCD。そのCDを持って、レジに持って行った。

ただ一度聴いただけの、歌声が忘れられなかった。

これが私と「神はサイコロを振らない」というバンドとの出会いだった。

これがその500円シングルである。


オススメの曲

サブスクリプションに登録されていない曲もあるが、YouTubeに音源があるので是非聴いて欲しい。

「静寂の夜に切り裂いて」
「甘い水」
「映幻日」
「白に融ける」
「揺らめいて候」
「フラクタル」
「極彩」
「胡蝶蘭」


ギャップ、二面性、天性と奇行

時々YouTubeのコメント欄などで「唐揚げ」「残高78円男」「足拍手」「ボラギノール鈴木」など曲に全く関係のないワードが並ぶ。

これら全てボーカル・柳田の奇行である。

そう、柳田は天性の歌声の持ち主であると同時に奇行男である。

現在は主にTikTokで奇行を晒しているが、それまたリスナーからは「歌っている時とのギャップが凄い」と圧倒的人気を博している。

ちなみに唐揚げは「今日は唐揚げエエエエエエエ!!」と唐揚げを作る前にアップした発狂動画、残高78円は本当に全財産が78円になったことがあり、足拍手は以前Twitterに動画をアップしたところYouTubeの再生回数より再生され、ボラギノール鈴木は柳田のYouTuberとしての名義である。(現在は全く更新していない)




ちなみに足拍手の後日談があり、自宅のレンジをぶっ壊したらしい。自業自得しか言えない。

神サイ、どこまでも飛んでゆけ

これは少し前に書いていた私の下書きである。

なんでだろう、こんなにもいい音楽があるのに知っている人だけが宝石のように、大切に聴いている。ネクストブレイクのランキングでは毎回ランクインする気配がない。まだ埋もれてるつもりなのか、まだ見つかっていない才能なのか、とっくのとうに彼らの才能は枯れることなく咲いているのだ。

彼らの同期はポルカドットスティングレイ、ユアネス、aint、聴いたことある方も多いのではないのだろうか。神サイだけが影に残されたままである。彼らの音楽は水中に咲く花であって欲しい。

私は1リスナーとして、「神サイ」という音楽の花がある場所を知らせたいのだ。一度月が揺れる水面に潜ってみてはどうだろう、私たちがあの物語で見た、神秘的な世界が広がっている。

どんなに進化を遂げてかっこよくなっても、この世界観は変わらないていてほしいと心底願う。

ずっとネクストブレイクのランキングに入っていないことを不思議に思っていた。

冒頭で紹介した「秋明菊」だが、このシングルは結成一年もしていない新人として異例の800枚も売り上げている。この時から早耳の業界人は絶対存在を知っているはずなのにプッシュしないのか不思議でならなかった。

今や代表曲である「夜永唄」ももちろん底抜けに美しく、柳田の歌声の表現力が存分に出ているのだが、だからこそ他にも神サイの曲を知って欲しいと思い、この記事を書いた。

ずっと前に、柳田が言っていたんだ「絶対に武道館に連れて行く」と。
神サイが武道館のステージに立つ未来は、思っていたよりも近いかもしれない。


神サイと出会った新宿のタワーレコードで行われたミニライブとサイン会にて、CDにいただいたサイン。「神はサイコロを振らない」という世界が、果てしなく続いて欲しいと心底願う。




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