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●風が吹くとき●

個人である時、戦争を願うものはいないだろう。
しかしそれが集団になり、国になった時、境界線は引かれ外側を排他してしまう場合がある。そしてそれは時に争いとなって憎しみや悲しみを生む。

この原作が書かれたのは1982年。アメリカとソ連の冷戦時代である。
いつ核戦争が始まってもおかしくない状況で、もしそうなってしまったらという想像から書かれた物語。

私たち一人ひとりは平和な生活を願っている。しかし所属している集団が、国が戦い始めてしまったら願いは無力である。
なぜだろう。生まれながらに戦いを好む者が果たしているだろうか。なぜ個人から集団になると戦わざるを得ないのだろう。

映画に出てくる平凡な夫婦は愛と平和の中に暮らす。引退して田舎でのんびり生活している。
それを守ろうとするが、戦争という波に否応なく飲まれてしまう。
どこに暮らしていても国の者である以上、その流れに巻き込まれてしまう。
私たちが選択した国のトップが決めてしまったら巻き込まれるしかないのである。

「もう二度と戦争を起こさないために、一人ひとりが暮らしを大切にする世の中にしたい」
これは『暮しの手帖』初代編集長の花森安治が創刊時に掲げた理念である。
一人ひとりが暮らすことを大切にしていたら、よく見てよく考えていたら、面倒を人任せにしていなければ、もしかしたら未来は違ったかもしれない。
国に暮らす全員が「国民」である以上、それはとても大事なことだと思う。一人ひとりが集まって国になるのだから。

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