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魅力的なひと

昔。風変わりなカフェに行きました。

木々が生い茂る自然の中に
ポツンと佇む木造のカフェ。

周りを見るとハンモックにテントが並び
アルプスの少女ハイジのオープニングのような
巨大ブランコまでもが設置してあります。

全てがカフェの敷地内。
どこで珈琲を楽しんでもOK。
木漏れ日の下で読書も楽しめます。

「マスター、珈琲ください」

さて私はどこで飲もうかな・・・と
思案しているとマスターが手招き。
マスターの立つスペースのすぐ隣が
空いているという。

えっ、そこで飲んでいいの?

誘われたらホイホイついていく私。
ピシっと背筋を伸ばして椅子に掛け
マスターとの会話を楽しむことにした。

「この珈琲美味しいんですけど、何故?」
「今日はどんな豆で淹れてくれたのかな?」
「いつもこの豆なの?もっと安価なものは?」
「珈琲の口当たりが尋常ではなく良いワケは?」

会話というか私が気になったことを
矢継ぎ早に質問しまくり。
だって他に客がいないから。
マスターの時間は私が頂いた。

我ながら少し質問がクドイかな?と思うけど
マスターはニコニコと嬉しそうに答えてくれる。
笑顔がまぶしいぜマスター。惚れてしまうだろ。
(マスターはナイスミドルのイメージでOK)

マスターの話一つひとつに、愛を感じる。
その場しのぎのごまかしなんかはなくて
真摯に、本心で、楽しさを語ってくれる。

「マスターの話おもしろいですね」

私も本心が出てしまった。
でも言わずにはいられない。
こんな魅力的に話をする人を見て
感心するなっていうのは無理な話だよ。

するとマスターが水出し珈琲を出してきた。
ん?なにこれ、頼んでないけど。

なんと、店からのサービスだという。
えっ、マジですか。いただきます。

マスターこだわりの製法で仕上げた
水出し珈琲は過去一番の「まるい味」だった。
はちゃめちゃに美味しかった。
多分街の喫茶店じゃ作れないシロモノ。
(手間が異常にかかりすぎるため)

「ご馳走様でした。また来ます」

・・・

自分の好きなことを上手く表現できると
あのくらい魅力的になれるんだろうなって
マスターを思い出す度に感心してしまう。
私もできればマスターのようになりたい。

しかし挑戦は怖い。現状を変えるのは怖い。

「私は〇〇ができないから・・・」
「私なんかどうせ▲▲ですし・・・」
「失敗したら嫌だし、機会があれば・・・」

出来ない言い訳を並べる力は超一流。それが私。
だって、ずっと挑戦しないでいれば
「最強のカード」がいつでも使えるんだからね。

『私はまだ本気だしてないだけだから』

という最強のうしろ向きカードを。

私は気付いていなかった。
いや気付いていないフリをしていたのかも。
そのカードを持っている限り、永遠永久に
魅力的なひとになんかなれないってことに。

・・・

いやあ、あぶない、あぶない。
最悪のカードをずっと持ったままで
人生を終えてしまうところだったよ。

思い切って破り捨てて良かった。
一生現状維持人間なんてつまらない。

いいと思ったら、まずやる。大抵上手くいくし
小さいミスはつきもの。カバーだってできる。

それにおそらく、あのカードを持っていたら
最高の嫁とは出会わなかった気がする。

noteだってそう。きっとやってなかった。

なんだ、そう考えると、人生を好転させるのは
あんがい簡単なことかもしれない。

少しは魅力的なひとになれたかな。

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