東京人の憂鬱
東京出身です、というと他県の方から『すごい』とか『都会育ちですね』という反応をされる事があり、その度なぜか私は自己卑下することになる。そんなことないです、地元は住宅地で、渋谷とか通い出したのは大学からだし…とかなんとか。確かに東京は大きな街だが、その大きさと私自身には勿論関係がない。他県であれば名物とか名産とか、山とか海があるとか話題もあれど、東京と言えば都会という位しか特徴が無い。都内の町ごとの特徴はあるが、私の育った世田谷は…特に名所もない。子供の頃は家の近所に牧場があったが(四谷軒牧場)、マニアックな情報過ぎる。人気の駅は二子玉川、三軒茶屋、下北沢あたりか。成城学園も世田谷区だ。そうそう、昔はお嬢様?と聞かれたりもした。とんでもない、と更に肩身が狭くなる。
東京には東京出身でない人も沢山暮らしている。その割合はどれくらいだろう?子供の頃は周り皆東京生まれだったのに、大人になるとホームなのにアウェイ、ちょっと珍しいくらいになる。いや、東京出身者は出身者のコミュニティで暮らしていて、私がそこからはみ出してるのか。
だからなのか、大人になってからの友人達はどんどん移住していく。地元に戻るのでもなく、自ら選んだ地に居場所を移す。それがずっと不思議だしうらやましかった。ここではないどこかが自分の安住の地だと、どうして分かるのだろう。そしてなぜ、一度は故郷を離れて東京に来て、再び去る事にしたのか。
そんな彼らを見ていると、生まれ育ったこの土地は何か間違っているんだろうかと疑いが湧いてくる。東京出身と話す時、自分のことを「あなたの友達でずっと地元を出てない子がいるでしょう?それが私」と説明したりする。都会が好きな訳じゃない、ただ私は立ち止まっているだけなんだ。
東京で暮らすために努力したことはない。進学も就職も東京だったのは、実家から通えたから。ある意味恵まれていたのかもしれない。それでも、ふと。どこか別の土地で暮らしてみたくなる。同時に、どこに住んでも同じような気もする。ここでいいのか?帰るべき場所はどこなんだろう?そう問い続けてしまうことは。
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