トラウマから立ち直った話
性犯罪のトラウマから立ち直った話です。苦手な方はここで戻ってください。
小学校中学年の時に、性犯罪に巻き込まれた。
その時のことは断片的にしか覚えていなくて、でも確かに心に傷を負った私は被害を訴えると、祖母は言った。
「そんな汚い話しないで早くご飯食べちゃって」
母が仕事から帰ってきて、迎えに来た時もう一度それを伝えると、激しく怒って急いで警察に向かったのを今でも覚えている。
そこから響かなかったいじめが辛くなったり
世界がグレーがかって見えたり、いちばん顕著だったのはスカートが履けなかったことだ。
露出を避けてスボンや夏でも長袖を着ていたりした。
当時の私に祖母は言った。
「そんな女らしい格好してるから」
「そんなの終わったことなんだから忘れなさい」
「いつまで言ってるの?」
挙句
「あんたん家はお金もってるんだからいいじゃない」
などと、話をそらされたこともあった
それはだんだん認識が歪んでいき、お風呂に入った振りをして髪を濡らしただけとか、そういう容姿を汚す方向に走った。
中学に上がった時、制服姿を見せると
「スカートなんて履いて色気づいちゃって」
親戚の女性連中はそう言って笑った。
あまりにも条件が揃いすぎて
「私が女だからいけないんだ」
そう思わざるおえなかった。
その刷り込みは親戚付き合いを辞めるまで続いた。
私の親戚という人達はそういった世界しか知らないんだと、その時は思っていたのに、どこか犯罪に巻き込まれた自分が悪いと思い込んでいた所はあった。
無知な子供に大人があまりにも無関心で
子供に諦めさせることを選ばせようとしていた。
そんな吐き気を覚えるような人達が集まっていたのだ。
反抗心はあった。そんな事言われても
辛いのは変わらない。どうしたらこの辛さから逃げられる?
何度も何度も10数年をかけて、答えを探した。
生憎、無神経な親戚たちより視野が広かったからこそ、諦められなかった。
そんな人達ばかりじゃない。と何度も暗示をかけるように恐怖が襲ってくる度、恐怖という先入観を排除しようとした。
最初は漫画の男の子キャラすら見れなかったし、テレビに出てくる男性に拒絶反応がでて見れなかったり、医者にかかるにも言葉が出てこないことも多々あった。
全部自分のせいなのではないか
こんなことを相談する自分がダメなのではないだろうか
そんな考えばかりで、今思えば苦しかった。
その苦しさすら認めてあげることが出来なかった。
ずっと残り続けてた「終わったことなんだから」
という言葉に支配されていた。
私にとってはまだ終わってない。
気持ちが自分の感覚が追いついてない。あの事件の日からずっと私は取り残されたままだ。
それを通院していた当時の先生には
「気にしない」「考えすぎ」なんてことを言われ続けたから、医者にすら匙を投げれるのかと絶望した。
誰も自分の気持ちなんて分からないだろう。
だから訴え続けることは無駄なんだろうか?
それでも、自分の中にあった違和感にNOと叩きつけたかった。
自分に自信があったわけじゃない。なにか特別出来たことがあったわけでも、何かを認められてきた訳でもない。それでも自分がみて判断してきた事を「その時の自分の最善だ」と思える選択肢を選んできた。その根底だけは譲れなかった私は、現実と思考の板挟みにあい、長年抑うつ状態に悩まされてきた。
手のひらに溜まるほどの薬を飲んでも、どこか鬱が降ってきて、ずっと「なんで」の繰り返しだった。
これだけ薬を飲んでも、自傷行為をしようとも
私の心は救われなかった。
どんなに優しくされようと、呆れられて突き放されようと、心の底の何かがずっと巣食って心を蝕んでいた。
月経困難症がありホルモン治療を始めた頃。
久々の生理に動揺している自分がいた。
ああ、私は今子供が産める体なんだ。
そう思った瞬間土砂降りの鬱が降ってきた。
今度被害にあったら子供が出来てしまうかもしれない。どんなに醜くなろうとも、性別が女である限り……欲望に貪欲な輩はいる。
ふと見上げた空はどこまでも青くて、蝉の声が聞こえた。
あの時の秋風の季節とは違う、夏の空だ。
心の中で何かが弾けた。
私はもう、大人なんだ。
あの時とは違う。無知な子供じゃない。
今の自分だったらあんな脅しに屈したりしない。
なぜなら、1人で抱え込んだりしないし、専門家に聞くことも出来る。警察に1人で行くことだって出来る。
あの頃とは違うんだなぁ
20年越しにそう思えた。やっと傷が過去のものになって、今の自分と向き合える、そんな気がした。
気持ちと現実が追いついていなかった時、何度も言われた「過去のことでしょ」という言葉は何度も私を傷つけた。
私にとってはまだ終わってない、きっとそんなサインだった。あの時の自分を引っ張り上げられるほど私の心は大人になっていなかった。
気持ちをワガママだと蔑ろにして見て見ぬふりをしていたそんな小さな女の子だった。
感情を昇華させなければ進めないと思った。
誰がなんと言おうと、本人がそう思えなきゃ変えられない、それも事実だ。
最後に
諦めることを強要するのは相手の心を殺すことだと思う。同情して欲しいわけじゃないし、過保護にする必要もない。ただ、他人の手で乱された自分の足元を整理する時間はとても時間がかかる。少しずつ整えて、やっと自分の道に戻れるその日まで
辛いのは前に進んでる証拠、そう思う。
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