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あの頃の君へ

世界の全てから否定された君へ。

未来の私から今ならわかることを書き留めておきたいと思って筆をとっている。

分からないことを分かろうと努力していた君が、ぽつんとまだ心の中で背中を向けて夕焼けを見てる。

ちょうど秋風が冷たい風を運んでくる頃、君の受けた仕打ちは今思えば酷いと他人事のように思うんだ。

レイプをされかけて、少なからず不快だったし珍しく泣くほど嫌だったことを覚えているだろうか。

お前の行動が周りを不幸にするんだよって脅されて、それは嫌だったから抵抗できなかった。
無知だったから。最初は自分をそう責めたよね。

それでもおかしいことをされたからどうにかこの気持ちを助けて欲しくて、助けを求めたよね。

汚い話をしてないではやくご飯を食べちゃってってあしらわれて、我慢しなきゃって思ったよね。

母が帰ってきてやっぱり耐えられなくて、伝えたら怒ってくれて嬉しかったのと同時に怖かったよね。

相手が知的障害だからとかそんな理由でなにかが有耶無耶にされたことを知って失望したよね。

私は逃げてしまいたかったあの日からずっと逃げられない、逃げちゃいけない、生きてなきゃいけないんだって絶望したんだよ。

だからずっと前だけ見て
前しか見なくて、気持ちからも逃げて人からも将来からも逃げてたんだよね。

ずっと子供のままでいたいのに、時間は待ってはくれなくて、進むしかないんだって無理やり進んだから、大きく転んでしまっただけなんだけどね。

親戚の女性陣はお前が女らしくしてるから悪いんだ。制服のスカートを見て、スカートなんて履いて色気づいてバカみたいだねと嫌味を言われたよね。

私はまだ癒えてない傷を抉られたみたいな気持ちだった。

お前は醜いねと言われて、嘘でもほんとでもそうであればいいと思ったし、そんなのでも関係なく被害に遭うのは女だからなんだって、思うしか無かった。

誰かに言って欲しかった。その時にそんな事ないって怒って周りを諭してくれたら救われたのかもしれないなんて他力本願な願いを今更思ったりする。

最初は毛嫌いしてた男性という対象を医者や教師と対峙する時に逃げられないって思ったから
ずっと男とか女とかそんなカテゴライズをとっぱらいたくてどうでもいいってスタンスを取っていた。

ずっと諦めようとしてたんだよ。
ねぇ、私諦められるかな?ずっとこれからもずっと諦め続けていいのかな?

今の私は思う。
諦めるのも疲れたよ。

自分の心を無いものにして楽な方に逃げて手元に残ったものなんて自分で価値を見いだせないなら意味無いと思う。淘汰されるほど私は意思が弱くなかったから

だから、辛いんだよ。
苦しいんだよ。

今もきっとあのころの君は泣いて怒って暴れて良かったんだって思うよ。冷静に構えて普通に平気なフリなんてしなくて良かったんだって、自分勝手に思ったりするの。

自分の性格知ってるのにね。

色んなことが麻痺してしまったけど、だからこそ
涙が出る時は助けてのサインだし、勝手に笑みがこぼれるのはほんとに嬉しいんだよ

私はもともと、些細なことで喜んで落ち込んで
傷ついたりと感情の豊かな子供だったよね?

水がしみてくように感情が溶けてく感覚を覚えてるよ。辛いことも嬉しいこともじんわりと感じることが出来た子だったよね。

あの頃に置き去りにしてしまった君をやっと見つけた気がしたよ。

こっちに振り返ってくれた時どんな顔してるんだろう。きっとそれは辛い過去との対峙だと思っている。覚悟はしてる、どうかこの心の行き先がちゃんと君のこころに届けばいいなと今は願うばかりだ。

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