親子げんかと小児科医
こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。
うちの病院の院内報に毎月書いているコラムです(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。
今回は2024年の2月号です。
学校や家庭で感情の調節がうまくできず、周囲とのトラブルを繰り返してしまい僕の外来を受診する子どもたちがいます。彼らの多くは「発達障害」かもしれないと心配されて紹介となります。発達障害には注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症などがありますが、子どもたちは注意力や興味のばらつきが大きかったり、コミュニケーションの力を身につけづらかったりするため、結果として社会にうまく馴染めないということが起こります。中には感情の調節がうまくできない子もいますが、イコール「発達障害」ではありません。私たち大人でもそうですが、感情が昂り周囲に当たるのは多くの場合、強いストレスを感じている時です。子どもたちでも同じですし、発達障害があっても同じです。話をよく聴くと必ずストレスを抱えています。家庭内で感情を抑えられず暴言や暴力を繰り返す子の診察では、診察中に母と子がお互いのことを責め合う場面を見ることが少なくありません。時に喧嘩のように言い争うこともあり、そんな時はどうしたらいいか悩むとともに、悲しい気持ちになってしまいます。人はなぜ喧嘩をするのでしょう。
僕の人生の師匠ブッダは、喧嘩をやめる方法についてこう言いました。
怨みは怨みを招き、それは連鎖し続けるのです。喧嘩をやめるには相手への怨みの気持ちを捨てるしかありません。とはいえ、外来で真理を説いても問題は解決しそうにありません。仕方がないので最近の僕は“喧嘩するのも好きのうち“、と考えるようにしています。大人同士の喧嘩は別ですが、小児科医が扱う親子喧嘩では、お互いが少なからず相手を思い、相手に認めて欲しいと願い、そして必ず相手のことが好きだと信じている(信じたい)からです。そうして二人の話を聴きながら、仲直りの手伝いをするのが僕の仕事なのです。皆さん、隣人を愛しなさい。ナンチャッテ。
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