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太田浩史「Power Automateではじめる業務の完全自動化」の紹介

こんにちは。
QZです。

【本題に入る前に一言】
私はPower Automateに関しては2年半くらい前から手を出し始め、最初はMENTA(自分が学びたい分野の、オンライン家庭教師を探せるサイト)で数か月学びました。
「簡単な操作で業務の自動化ができる!」というのはその通りなのですが、そうはいっても全くのゼロからのスタートの人にとっては、最初は誰かに教えてもらわないとダメです。
そうでないとフローを組み立てる際の前提となる考え方やコツなどがわかりません。
数か月後、自走できるようになってからはPower Automate関連本が発売されるたびに購入して勉強したり、Udemyの講座を受講したりしてきました。
これまで挫折することなくフローを継続的に作ってこられたのは、運が良いことに職場の同僚からの「すごい!」という驚きの顔、「ありがとう!」という感謝の言葉、「こんなのも作れる!?」という”頼られている感”、そういった有形無形のフィードバックがあったからこそでした。
こういう反応が見たいがためにこちらも期待に応えようとしてやってきた経緯があります。
・・・最近その職場を退職しますので、「来し方」をつい振り返ってしまいました。

【本題に入る前にもう一言】
Power Automateには
①    Power Automate(ウェブ版。クラウドフローとも。RPAとは言いません)
②    Power Automate for desktop(デスクトップ版。デスクトップフローとも。RPAです)
の2種類があり、Microsoftの位置づけとしては、①の中に②が含まれているイメージです。
とはいえ②でできることは全て①でできるわけではなく、②でしかできないこともあります。
逆に、①でしかできないこともあります。
また、例えば「メールを送信する」行為は①と②のどちらを使ってもできますが、フローの組み立て方・操作方法・画面上の見た目がまるで違います。
なので「名前が似てはいるものの、両者は別サービス」という認識を私は持っています。
両者を混同して紹介している本も発売されていますので、お気を付けください。
(具体的な書名は明記しませんが、Amazonでは2023年1月30日から発売されている本です。書名には大きく「Power Automate」と書いてあるが、実際に説明しているのはPower Automate for desktopという・・・。それだけで読む気がうせてしまったので私は読んでないのですが、もし読んでみるとPower Automate for desktopの解説本としては良書なのかもしれません。評価も高いようですし)

【本題に入る前にさらに一言】
というわけで、今Amazonで販売されているPower Automateに関する本は9割方目を通しています。Amazonでkindle向けにしか発売されていないものも含めて。
ただ、「~for desktop」に比べて解説本が少ないです。
なので知名度は低い気がします。
英語圏では逆に「Power Automate」といったら本家の「Power Automate」のことであって、「Power Automate for desktop」に関しての話題は少ない印象です。
発売されている解説本の比率、Udemyの講座数などを鑑みるに。

【本題】
というわけで太田浩史「Power Automateではじめる業務の完全自動化」の紹介です。

これは現状我が国におけるPower Automate解説本の一番いいやつです。
「ライバルが少ないから」というのも理由の一つとして挙げられるかもしれませんが、とにかく一番いい解説本です。

本書のいいところリスト
①    難しい説明を、著者が平易に言語化できている。雑な説明をしていない。
言葉の表現の端々に、「こういう書き方をしたらわかりやすいかな?」と著者が試行錯誤した跡がうかがわれます。

②    「そうそう!」と思ったところがある。
たとえばコラムの一つにこんな文言がありました。

このLESSONでは式やJSONの知識を使いながら、しばしばフローに登場する不要なApply to eachを省く方法を紹介しました。しかし、このように式やJSONを使いこなしたフローは、それが重荷になる場合もあります。それは、自分が作成したフローを、ほかの担当者に引継ぐときです。式やJSONを駆使して作成されたフローは、それを修正するためにもそれらの知識が必要です。引継いだ担当者にその知識がなければ、せっかく作成したフローが今後は使われなくなってしまう可能性もあります。こうした事態を回避するためにも、フロー作成の学習は一人で頑張るのではなく、普段から同僚と学んだ知識を共有し合いながら進められるのが理想です。

これは「見た目を考えると普通にフローを組み立てるとこんなにゴチャゴチャしてしまって見にくくなる。こうすればフローがシンプルにすっきりしますよ」と解説した直後に「でもこんなデメリットもあるのでご注意を」と注意喚起している場面です。
ここまで痒い所に手が届く解説をしてくれるのがこの著者の真骨頂だと思います。
他の方の著作ではここまで丁寧な説明はされてない場合が多いんですよ。

③    「へ~、なるほど!」と思ったところがある。
たとえば「Formsの回答内容をメールで関係者にお知らせする」というフローについての説明が書かれています。その使用例として

Forms では、スマートフォンから回答フォームを開くための二次元コードを作成できます。その二次元コードを活用して、社内のちょっとした業務を効率化できる例もあります。
例えば、社内のコピー機の紙が切れていたり、会議室の備品であるホワイトボードマーカーのインクが切れていたりした経験はないでしょうか。そうした場合には、総務部の担当者に連絡するなどして補充してもらう必要があるのですが、連絡するのが面倒だと放置されてしまうことも多くあります。そこで、コピー機の本体や会議室などに、備品補充依頼のフォームを開くための二次元コードを貼っておきます。備品の不備に気付いた人は、この二次元コードを読み取って表示されるフォームから、簡単に補充依頼を送ることができます。さらには、Power Automateによって依頼内容が総務部のチームに共有されるため、部内のメンバーがすぐに気が付いて対応できるようになります。

と、コラムで説明していました。
大学の場合、教員控室などにあるコピー機付近に「用紙切れの際はこのQRコードから補充依頼してください」という紙をラミネートして貼っておけばいいと思います。
ま、すぐ近くに職員がいる環境であれば(=補充担当者に連絡するのが面倒な環境でなければ)口頭でもいいかもしれませんが。

④    「HTMLテーブルの作成」アクションと「JSONの解析」アクションの分かりやすい解説がある。
Power Automate中級者以上になると、誰もが一度は通る道。
それが”「HTMLテーブルの作成」アクションとか「JSONの解析」アクションとかあるけど、これって何?”です。
その疑問に答えてくれており、ここまでわかりやすい解説はみたことはありません。

⑤    エラーが起きた時の対処法がわかりやすく書かれてある。
エラーコードの意味一覧とかもあります。

というわけで、Power Automateを学習する人にお勧めできる一冊です。
他にも解説本はありますが、「最初だけ初心者向けの話をして、いきなり上級者向けの内容になる」本だったり「わかる人だけわかればいい」というスタンスで解説している文章だったりしますので、ほかに自信をもってお勧めできる本はありません。