生きることはいい歯でいること

歯医者は好きではない。

虫歯になる前に行くのがいいことは知っている。

どこか不具合が起きてからじゃなくて予防のために通うのがいいことも知っている。

小さい頃は虫歯が痛んだら行くところだった。

でも今はメンテナンスで通う人も増えてきたのではないかという体感だ。

私も10年以上前にメンテナンスで通っていたが行かなくなった。

初めは虫歯がきっかけだったが痛い思いをしない為に通った。

ただどうしても納得いかないシステムがあった。

上の歯と下の歯の歯石とりが別日でないといけないことだった。

1回で終わらせてくれよ。

予約が面倒なんだよ。

それでそのうち行かなくなった。

その後もしばしば歯の不具合が起きては歯医者ジプシー。

いろんな歯医者へ行ってみたが、どこも何かしらがイマイチだった。

話は飛躍するがそんなこんなで母が末期ガンで余命3ヶ月と宣告された。

ついこの前までスナックを経営していたのに。

ひとり暮らしできていたのに。

確かにどこそこ体調の変化はあったようだが日常生活に支障が出るほどではなかった。

でもちょっと振り返ってみると確かに”痩せた”と感じたことがあった。

それが入れ歯を作り替えたタイミングだった。

どうもしっくりこないと言っていたのを思い出した。

喋るのも億劫っていうくらいハマっていなかったのは見るからにも感じた。

きっと食べるのも億劫だったはず。

その頃から痩せていき急に体力が落ちてガンも悪化が進んだのではないかと推測。

食べることは好きな母だったので入院当日に精をつけて頑張ろうと焼肉を食べに行った。

しかし母は肉を噛み切ることができず、手づかみで肉を噛みちぎろうとしていた。

それでも1人前の半分食べるのがやっとだった。

その後、宣告通り3ヶ月後に痩せ細って亡くなった。

食べることは生きることだ。

食べるためには食べることのできる歯が必要だ。

改めて歯の大事さを痛感した。

歯周病が全身に回って病気の原因になることは最近よく聞く。

口腔内の健康こそが元気に長生きする秘訣ではないかと思う。

昔の人の寿命が今より短いのは歯科医療が今ほど進んでなかったからではないかと考えれば納得ではないだろうか。

歯がダメになれば食べることができなくなり、やがて弱っていく。

何でも食べられる歯は尊い。

なのにだ、日本の歯科に関して保険診療の範囲が狭すぎるのはものすごく不満だ。

被せ物にしても、保険だと銀歯で白い歯を保とうとすれば保険外で数万円かかる。

8020運動もいいが、もっと保険診療の範囲を広げてくれ。

私は声を大にして言いたい。

何千円か何万円か。

選択するにしてもピンとキリしかない。

子どもの頃に治療した歯の根っこが長年かけて化膿してという副産物に、もう何十万かかったか分からない。

歯医者は痛いとか機械音の恐怖とか、ホント嫌なイメージしかない。

歯科医師も正直当たり外れで天と地だ。

そして後々じわじわとその効力を発揮してくる。

何度も言うが元気で長生きしたいなら歯医者に通った方がいい。

幸いにも、私は今歯医者に通っている。

今日も行ってきたところだ。

説明も丁寧で医師の腕も良く痛かったことがない。

ただ、金がめちゃかかる。

歯根に膿が溜まっているところが2ヶ所もあったから。

親知らずも全て抹殺した。

私はこの歯医者で全ての治療を完了させるつもりだ。

老害を晒したくないので長生きはそれほど望んでないが健康寿命を延ばしていけるよう歯の健康には十分気をつけていきたい。

生きることは食べること。

食べることはいい歯でいること。




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