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アダラートCR錠(ニフェジピンCR錠)の分割投与について

 ニフェジピンは高血圧に適応を持つカルシウム拮抗薬ですが、その24時間持続製剤CR錠(Controlled Releaseの頭文字)については一昔前まで(2013年6月まで)一日一回の用法しかなく、疑義照会に悩む薬の一つでした。
現在は高血圧症に対して使用する場合

なお、1日40mgで効果不十分な場合には、1回40mg1日2回まで増量できる

添付文書

となっています。
公式に適応追加されたとはいえ、悩んでいた理由は血圧の状態として「ディッパー(dipper)」という夜間に血圧が下がる生理機能があるためです。     
 通常夜間には血圧が日中に比べて低くなるため、朝一回の徐放剤を服用することで夜間に血中濃度が緩やかに下がり、安定した降圧が達成できます。しかし、中には夜間に血圧が下がらない「ノンディッパー(non-dipper)」という病態があり、この場合夜間の血圧が下がり切らない可能性があります。
 高血圧による合併症を防ぐには24時間の安定した降圧がガイドラインで推奨されていますため、こう言った場合は分割投与もありうる選択です。

家庭血圧や24時間血圧測定で得られたトラフの血圧が高値の場合,朝に服用している降圧薬を晩に服用したり、朝晩の2回に分服、あるいは晩や就寝前に追加投与することを試みる

高血圧治療ガイドライン2019

このガイドラインでは比較的古くからこのスタンスをとっており、悩んでいたわけです。公式に添付文書に追加されてよかった…

 似たような例は他にもあり、アムロジピンなども実はこのように分割投与を見ることがあります。後述しますがこちらは疑義照会の対象となるかと思います。

 この場合も同じように考えて…と言いたいところですが、アムロジピンはそもそも半減期が36時間。一日を通して安定した降圧効果が得られることが臨床研究で明らかになっています。効果発現も緩やかであり、夕方に追加投与の必要はありません。仮にノンディッパータイプで夜間の血圧が高いなどがあるようなら、服用タイミングをずらすのではなく、ガイドラインでも推奨されております、別種の降圧剤を追加する方が効果が高いです。

 上記を踏まえて
次回はニフェジピン服用中の患者が入院で経管になった例について考えてみたいと思います。

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