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なんもない夜座 #2

 ご法座は、なんもない日にやったっていい。特別な人たちがやってきて、特等の音を鳴らす夜は、特に。

 4月に行われた「なんもない夜座 #1 U-Zhaan × 石濱匡雄」に引き続く、第2回目の開催。

 特別なゲストは『Salmosax / Contrabass sax : 山内桂』、『Piano duo : 杉山裕子 × 小玉恵美』の二組。

 一年のうちで最も夜が長い日の、陽が落ちた頃にはじめます。


 出演者の一人である小玉恵美は、私の実の姉。子供の頃は、姉が練習しているピアノの音を聴くのがあまり好きではなかった。なんて横柄なピアノを弾くんだろう、と。やがて姉が大学を卒業する頃にはそんな気位の高い音が聞こえてくることはなくなり、今ではとても、確かで強く美しい音を響かせてくれる。いつか自坊でも演奏の機会を、と考えていた。

 そんなとき、サックス奏者の山内桂さんから、ツアーの1ヶ所に、とオファーがあった。昨年末、大分AT HALLに呼んでくださり、ご自宅でのおもてなしを含め貴重な時間をご一緒した。桂さんの演奏を、ご本堂で聴いてみたい。大分で、届いて間もないコントラバス・サックスを拝見していたが、まさか自坊で息を吹き込んでくださることになろうとは。これもご縁と、ご法座を企画することにした。

 姉に相談し、連弾パートナーの杉山裕子さんも快諾くださり、今回の夜座の実現が決定した。

 そうこうしながら岡山へと帰省した10月某日、調律師の川野誠さんが実家のピアノの様子を見に来てくれた。年に一度、九州にも足を運んで、ご本堂横のピアノも調律してくださっている。12月のこの企画についてお話しすると、なんと、今年1月に予定していた予定をひと月繰り上げて、ピアノの調律と本堂への移動といったお力添えをくださるために、当日参加してくださるという。ミラクルが起きることになった。

 そんなこの度の「なんもない夜座 #2」は、2023年12月22日 (金)、18時開場・19時開演。参加のお申し込みはこちらから。


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開催にあたり

 一年のうちで最も夜の長い日に、二組の音楽家をご本堂へとお招きし、演奏会を開催することになりました。そんな有難い夜には、蝋燭に明かりを灯し、ご法座を開きたいのがお寺です。

無明長夜(むみょうじょうや)の燈炬(とうこ)なり
智眼(ちげん)くらしとかなしむな

正像末和讃(しょうぞうまつわさん)

 浄土真宗のご開山、親鸞聖人の晩年のご和讃の一節です。13世紀当時、大災害や飢饉、伝染病といったどうしようもない苦しみのただ中を、人々と共に生きておられた聖人。「真っ暗な夜が明けることなく続いても、私を照らす光はかたときも離れない。例えその光をこの目で見ることのできない愚かな私であっても、それを悲しむことはない。なぜなら、そんな私だからこそ、光は照らすのだ」と、800年経った今も相変わらず四苦八苦している私たちに、お示しくださいます。

 火を灯した蝋燭のあかり、そして演奏にのって届く音の輝きに、私が照らされ、長い夜にも私のそばを離れることのない光を知らされる、そんな一夜をご一緒できれば幸いです。 

称名
転法輪山 明行寺

精進します……! 合掌。礼拝。ライフ・ゴーズ・オン。