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【12月の日記⑥】音楽レビュー:『SUN'n'JOY』ZION

ZIONの1st Album『SUN'n'JOY』。

2020年、コロナで悶々としていた東京で生活していたら、確実に生まれなかったであろう、このアルバム。とにかく豊かで、健康的な、オーガニックなバンドサウンド。ミュージシャンにとって音楽を製作する環境がいかに重要であるか、その事実をしみじみ実感した。

昨年の夏頃だったか。北海道で、なんかバンドらしきことをやっているとファンの間でざわついたのは。だけど、光村にとっては、やはり良かったのかもしれない。東京を離れてみたことが。

ZIONのアルバムリリースをきっかけに活動後期のNICO Touches the Wallsの曲を久しぶりに聴いてみたけど、痛々しくて、本当に聴くのが辛かった。で、この「辛さ」とは、今新しいバンドで光村がのびのびと音楽人生を送っている姿が見えるから感じてしまう「辛さ」である。

NICO Touches the Walが活動終了を発表する数カ月前、あの音沙汰ない状況が続いていた頃、「レーベルの移籍でも決まったのだろう」くらいにしか私は思っていなかった。次回作に期待していたし、何より彼らに信頼を寄せていた。からの「バンド活動終了」というのはまさに青天の霹靂だった。

でも、結局私はニコのことも、光村のことも、何もわかってなかったんだなぁと再びこのタイミングで実感することになる。これも、想定外。



私はZIONのアルバム『SUN'n'JOY』を、バンドからの告知どおり予約開始日の11月25日12時02分に予約した。アルバムは予定どおり発売日の12月2日に自宅に届いた。

アルバムの入った封筒を手にした瞬間は単純に嬉しかったし、感動があった。「おかえり、光村」そう思った。そして、実際にアルバムを聴いてみると、ZIONのバンドサウンドが私の音楽の趣味嗜好的にも、ぴたりとくるものがあった。

それでも、アルバムを通して聴けたのは、実は手に入れてから1週間以上が経ってからだし、手に入れたばかりの数日間は、聴き始めて数曲で止めた。なぜなら、辛いから。まだまだ消えない葛藤が私にはある。

ちなみに、このアルバムが購入できるのは、北海道河東郡士幌町にある「道の駅 ピア21しほろ」のWebサイトか、実店舗のみ。近所のタワーレコードに行っても、Amazonで探してみても、売っていません。また発送作業もすべてメンバーの手で行われているから、手元に届くまで時間もかかる。メディアへの露出もほとんどなし。彼らのスタジオのある北海道のラジオに光村ではないメンバーが出演したくらい(12月11日の時点では)。


来年、いよいよ私もZIONのライブを観に行きます。ライブを観たら、何か変わるのかもしれないし、何も変わらないかもしれない。でも、光村龍哉の新たなスタートを祝福しに行きます。と、同時に、私自身の気持ちの折り合いをつけていく作業も、ここからはじまる。

伝えていく
さよならも抱えていく
旅立ちを祝って
わかって
かわって
育って
誓って

歌ってゆく

「Leaves」ZION より


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