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ZION「Mountainphonic」を聴く

来年、いよいよ私もZIONのライブを観に行きます。ライブを観たら、何か変わるのかもしれないし、何も変わらないかもしれない。でも、光村龍哉の新たなスタートを祝福しに行きます。と、同時に、私自身の気持ちの折り合いをつけていく作業も、ここからはじまる。

ZIONの1st Album『SUN'n'JOY』を聴いた直後に書いた文章を、私は上記ように締め括った。でも実際はライブには行けなかったし、アルバムも徐々に聴かなくなったしまった。理由は(ざっくりとしたものになるけど)気持ちが離れてしまったから…が!なんだかんだ動きが目に入りとやっぱりモヤモヤしてうしまうので、だったら、今度こそちゃんと向き合ってやろうじゃないか!と再び決めたのでした。

そして、調べたらEPが発売されるというので予約。先日手元に届きました。

2月21日発売されたZIONの1st EP『Mountainphonic』には4曲収録されている。音に耳を委ね目をつぶると広がる広大な大地、1曲目の「Mother ship」はまるでロードムービーを観ているかのよう。2曲目「Takuranke」はプログレとサイケを掛け合わせたような重たいロックナンバー。ZIONの売り(?)である分厚いトリプルギターが活きる。歌詞では「面倒くせぇ」と言いたい放題。
3曲目の「Thunder Mountain」はサビのコード進行とメロディラインがGRAPEVINEの楽曲にありそうな雰囲気。ただダイナミックなアレンジは先述した通りのギター3本の力。そして4曲目「Furinge」でようやくアコースティックギターが登場。静かな湖畔から夕暮れを眺めているような景色、都会ではなかなか感じることのできないゆったりとした時の流れを音で描きながら、歌詞では、今そういう場所にいる光村の人生観が素直に綴られているように思う。流行とか売れる音楽とか、かつて彼が散々戦ってきた世界とはまるで別世界。


とにかく色々考えさせられた。果たしてこの4曲は2020年代の混沌とした東京にあるスタジオで制作することが出来たのか。いや、人里離れた雪国で純粋に音楽と向き合える環境に身を置いたからできたんだ(ZIONの拠点は北海道・十勝)、そんな説得力が今回のEPにはある。そして、同じ想いを持つ仲間と巡りあえたから実現できた。バンドも人間関係だから、足並み揃えて、皆で成長させねいかねばならないし、それぞれに今まで積み重ねて来たものがあるからぶつかることもあるだろう。しかし、ひとつのバンドを畳んだ光村が音楽をやる手段として選んだのはまたバンドだったという事実は、それなりの覚悟で始めたことに違いない。


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