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"なにもない"に気づく




シンガーソングライターとして活動を始めてから早6年が経とうとしている。
高校を卒業して大学へは進学せず、バイトをしながらライブハウスで、唄って、泣いて、笑ってた。
初心者用のギターで、人前で自分の詩を唄ってるなんて幼い私が聞いたらびっくりするだろう。でもすぐに納得してくれるだろうなとも思う。



本当は、私って何になりたかったんだろう?そんなことを考えてた。
人前で唄いたくて、そうなったわけじゃ全然ないし、あの人に憧れて!あのステージに憧れて!っていう周りと比べると炎の火力が低かった気がする。それに私も気づいてたけど、そうしたいんだ!っていう直感はすごく強かったからただ身を任せてた。
かっこつけて言えば何にもならなくていいし、人間です。で終わりなんだけど、『何やってる人なんですか?』って言われると『唄、唄ってます。』って言ってて、『自分で曲も詩も作るんですか?』『そうです。』『すごーい。』みたいな会話をすごいしてた気がする。そしてなんか違和感を感じてた。確かに事象的には合ってるんだけどなんか、擦り合わないというか、しっくりこないなっていう感覚がずっとあった。
決定的な出来事は、よくあるトーナメント戦みたいなライブをやったときだった。
どちらかが『勝ち』で、『負け』でが決まる。
それじゃ決められないのが音楽だ!という気持ちを一旦無視して、目標のステージや賞金のためにがんばる!みたいのが出来なかった。もちろん参加してる時点でそれは嘘なんだけど。勝った方が『優れている』そんな烙印が怖かったんだろうね。
まるで『お前に価値はない』なんて言われているようで、とても怖かったんだと思う。
ここで、『あれ?わたしってこういうのがやりたいんだっけ?』ともっと自分に耳を傾けてそこを掘り下げれば良かったんだけど、『争いが苦手だ!なんて言い訳だ!ここで、負けちゃダメだ!』になっちゃったんだよね。





ここで"なにもない"に気づく、なんだけど
いい意味でそう思っていて。



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