『ただいま』なんて言うから私は『おかえり』って言えたんだよ

穏やかすぎて怖かった
大きな海辺にぽつんといて
勝手に不安になってた
どうすればいいんだろうってなってた
何もしなくていいのに
そこでただ寝そべって
起きたいときに起きて
好きな音楽を聴いて
それだけでいいのに

やっと足先を海に伸ばしてみた
どれくらい経っただろう
ここまで来るのに
どれくらい経ったのだろう
目の前には、変わらない景色がある
気付けなくて、ごめんね
信じる、勇気がなかったの
それでもずっとそばにいてくれて、ありがとう
それでも愛してくれて、ありがとう

今までは背中に太陽を感じながら、私を見ていた
今は太陽に向かって、腕を上げているよ
抱きしめるように、叫んでいるよ
大人なのに、泣きながら叫んでいるよ
やっぱりここからうまれるんだね
そして、ここから始まるんだね
あなたがもう一度
私に振り返るとき
背中からは大きな翼が生えていて
鼻水を垂らしながら、笑って
『ただいま』なんて言うから
私は『おかえり』って言えたんだよ

何度も潜っても同じ情景が見える
また同じひとがそこにはいた
だけど今回ほど清々しく
泣きながらも笑っていて
こんなに美しいと思ったのは初めてだった
いつも悲しそうで、虚しくて、こっちを見ていたのに
今日は太陽を見ていた
そして海もあった
何年後かも、何日後かも、何分後かも
何もわからないけど
一歩ずつ、少しずつ
進めている、それがわかるよ

Coco