見出し画像

短歌 雨01 十首

思い出がひと雨ごとに塗り替わり
君が誰だかわからなくなる

わがままになってほしいと願うほど
雨が降ること知っていますか

街に咲く赤青黄色の雨傘
そこに私の色だけが無い

雨粒に撃ち抜かれるとうそぶいて
見せ合う傷を用意する君

雨音は三拍子だと歌う声
影は優しく雲に抱かれた

いつ降るかわからないのは雨と嘘
天気予報で誤魔化さないで

枯れ急ぐ紫陽花たちのレクイエム
なぜ忘れるの なぜ笑えるの

疎まれるくらいがきっとちょうどいい
雨は誰にも等しく注ぐ

三毛猫が雫を残し去っていく
夜を越えたらまた一人きり

雨雲を連れてきた君の嘆きは
母の吐息にとても似ている

#note短歌部 #文縁の友 #チャレンジ中

よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。