思い出がひと雨ごとに塗り替わり
君が誰だかわからなくなる
わがままになってほしいと願うほど
雨が降ること知っていますか
街に咲く赤青黄色の雨傘
そこに私の色だけが無い
雨粒に撃ち抜かれるとうそぶいて
見せ合う傷を用意する君
雨音は三拍子だと歌う声
影は優しく雲に抱かれた
いつ降るかわからないのは雨と嘘
天気予報で誤魔化さないで
枯れ急ぐ紫陽花たちのレクイエム
なぜ忘れるの なぜ笑えるの
疎まれるくらいがきっとちょうどいい
雨は誰にも等しく注ぐ
三毛猫が雫を残し去っていく
夜を越えたらまた一人きり
雨雲を連れてきた君の嘆きは
母の吐息にとても似ている
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