見出し画像

短歌 夏03 十首

夏色が少しはだけた街をゆく
胸に小さな棘を抱いて

溢れくる涙のわけも知らないで
戻り梅雨など受け入れないで

太陽が悪魔のように焦らすから
彼の心も歪んでしまう

憎しみが増幅されるだけなのに
夏が好きだとあなたはほざく

輝きは汗と涙とあがくこと
ダイヤモンドは夏に合わない

いつからか彼の脳では太陽が
直接指令を出すようになり

憂鬱がぶっ飛ぶほどに暑いから
喜怒哀楽も目まぐるしくて

何もかも夏のせいだとうそぶいて
銀の指輪を浜辺に投げた

夜の青 三日月が浮く空の上
神さま一人ぼっちだろうか

砂の上 描いた未来予想図は
満ち潮たちがさらっていった

#note短歌部 #文縁の友 #チャレンジ中

よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。