短歌 花 十首
1
花を急く心によく似た焦燥は秋月にだけ赦されている
2
夏の日に見たあの花火は今どこで誰の心に咲いてるのだろ
3
恋人よ 口を開ければ花びらの数だけ嘘が漏れてしまうね
4
過ちを認めぬ細胞を切り捨て誰の機嫌も窺わぬ花
5
まだここで生きていきます いずこかに花の咲く意味がまだあるなら
6
まっさらな雪原を一番最初に汚した人が花として往ね
7
なぞなぞがとけないまんま大人ってやつになったよ かっこいいだろ
8
青い鳥 ネギをいだいて居酒屋で酔いどれたちを幸せにする
9
着信を期待する胸に膨らむ蕾はいまだ傷を知らない
10
ありふれた奇跡でいいと願うほど今あるものを軽んじる罪
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