短歌 雨02 十首
片時雨あの日失くした正しさが
傘を持つ手に痛みを穿つ
約束はしない約束だったから
笑顔で雨を受け入れている
雨粒の音に合わせて堕ちていく
君の心がドシラソファミレ
伝言を残しておいたはずなのに
雨声に消されてしまった恋文
二人とも二度と会わないことにして
驟雨にすべてを隠した夜
雨粒を覗き込んだら君がいた
悲しい目をしてこちらを見てた
しょうしょうと降る雨を責め立てないで
空白にだって命は宿る
空気読め 読んだら次は気を遣え
雨はピエロの居場所を奪う
繰り返すだけの通り雨こそが
ついに尊いことだと気づく
その隣 私雨(わたくしあめ)のようでした
気づいた時は何処にもなくて
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。