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空の瞳

あれは一昨年の、ことでしたでしょうか
それとももっと前のことでしたでしょうか

夢を見ました、確か紫色の。

らの羅列をせよと迫られ、
どのらですか?と問うと、
裸でも羅でも螺でもなく、
らである、とのことです。

らを探す。
そういえば背の高いバオバブの木に登ったまま行方不明になったグルの双子はそのまま星座になったらしい。

ら探しの旅はあっけなく終わります。
音階の中に隠れていたのでした。
きちんと抜き出して奏でればこう。

ドレミファソシド♪
(気持ち悪いだなんて言わないでください)

件の脅迫者は荘厳な服を身にまとい、
でもぽかんと口を開けて間抜けな顔、
そこから垂れ流される涎がドドッと、
世の果てにあるという瀧になるから、
正義を辞書で引く必要がなくなった。

欠けてゆく月と満ちてゆく月と、どっちが好き?

ロマンチックは容易く人を裏切るから、
今だけ溺れてやっても構わないなんて、
自惚れることも許されないのでしょう、
可哀想可哀想可哀想可哀想可哀想可哀
そういえばコーヒーショップで買った、
不可解な身勝手な不恰好なくまさんは、

どこに行った?
私のかわいい、
何人食べたの?
らはどこかな、

「星(=滅びた光の塵)に願いを〜」

全部ひっくるめて愛しいから、怖くなるんです。守りきる自信がまるでない。失う覚悟なんてできない。弱虫には殺虫剤を撒く。鉄則。

違う違う、あれは一昨日のこと、
あるいは今夜確実に訪れること、

還元しきれない劣情がひたひた迫りくる、頬にぴたりと貼り付いてじわじわ染みてくる、そうしてらを見つけて、らを手にとって、らがらのままでいられますように、願う。

欠けてゆく月と満ちてゆく月と、どっちが怖い?

そう問いかける舌が頬にぴたりと一致して、夕凪はもはやサドンデス。ファンレター、書けなかったなぁ。好きなだけではいけなかったみたいだ。ねぇ、ちゃんと生きてよ。

ご覧!

そう呼びかけてもすでに眼球は遥か上空に逃げ出していて、らのらによるらのためのスケッチが始まった。本当のことなんて、言えるわけないし。

(ゆえに人は、らを求めるのでしょう)

手遅れです。

#詩 #現代詩 #空の瞳

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