短歌 仮説 十首
1
間の抜けた顔で剥き出しの惰性をかじる君のまつげに浮く汗
2
「星座って孤独を繋げてできてるの」君の仮説を葬り去ろう
3
舌の根も乾かぬうちに発車ベルが聞こえたから旅に出ましょう
4
シャボン玉は壊れるためにあるという秘密を暴き弾けたあなた
5
残酷になれない夏の昼下がり ピアノ線だけ持ってきた君
6
見上げても花火うつむいてもモグラがとろけていやがるから地獄
7
シャム猫が三日月をちぎって分ける夜に星が堕ちても笑える季節
8
唇に君の背中を感じてる どうぞそのまま墜落をして
9
雨なんてどこにも降っていないからもう優しくなんてしないでよ
10
もう二度とあなたが笑えないようにわたし必ず幸せになる
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。