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それは突然終わりを迎えた

ずっと気になっていたことが今日、思わぬかたちで解消しました。ずいぶん前に「うざバング」の意味がわからずに苦悩する記事(なんか違うね)を書きましたが、よくよく考えなくたってスマホ一つで誰もが物知り博士になれる時代、検索すれば済むところを今日の今日まで調べずにいた私は、自分のそんなぼーっと生きている感がとても好きです。

私は前髪を半年近く切れずにおりました。なかなか行きつけの美容室の予約を入れる余裕がなかったことも一因ですが、10月あたり、視界を遮ってくる前髪にそろそろ疎ましさを覚えていた頃に職場のお姉さま(ヴィヴィアンが好きで古着を華麗に着こなすくだんの麗人)と一緒にランチに行った時のこと。

「そろそろ前髪切りたいなー」

と、なんとなーくこぼしたところ、

「今のその長さ、なかなかいいじゃないの。アンニュイな雰囲気が出まくってるよ。わざとじゃなかったの?」

と言われ、「ほほぉ……」となり、

「アンニュイ、ですか。そうですか。そうですかそうですか……。ですよね〜」

→ 落ち着きのなさを、もしかしたら前髪のアンニュイさでカバーできるかもしれない……!

ここに単純⭐︎女王笹塚(この座は譲らぬ)の「アンニュイ度アップ」を狙う日々が始まったのであります。

全く他意はなく、眠かったり考えごとをするときに私は目をキュッと細めるクセがあるらしく(最近まで無自覚で、しかも私はしょっちゅう眠かったり考えごとをしているので「あなたはいつもどこか余裕ぶってスカした表情を浮かべているよね」と大きな誤解をされたこともありました……)、もともとややつり目気味なこともあり、それでいて内心は常時わーきゃー騒いでるので、

「そうだ、自分に『アンニュイ』が加われば、もう少し見た目と中身とのバランスがマシになるかもしれない!」

と愚か者まるだし(=笹塚の基本ステータス)の発想のもと、前髪をケアする日々がスタートしました。

具体的には普段はケチって毛先にしかつけないヘアケアオイルを毎晩前髪にもつける、うっかり購入したヘアアイロンで毎朝の時間を割いてきちんと整えて「ふわり」を演出する、その奥におわす両の瞳を気がついたときに「キュッ」とさせる、などの行動です。

私のアンニュイ大作戦は続きました。当たり前ですが特に何もスペシアルなことは起きず、それでも自称アンニュイな私は自分がアンニュイなのだと信じて昨日までアンニュイぶって生きてきました。

そんなアンニュイな私にまさかの真実がどかんと落ちてきたのは、昨日のことです。

昨日はおやすみでゴキゲンだった私は夕方、スーパーでたんまり買い物をしてふふふ〜んと心の中でSAKANAMONの「烏兎匆匆」を歌いながら帰宅しておりました。

いつもお世話になっている美容室の前を通りかかったとき、偶然扉の外に出ていたマスターに会い、

「ご無沙汰してまーす」

と挨拶したのですが、そこでマスターから衝撃の一言が。

「笹塚さん、久しぶりですねー。しばらく来ないと思ったら、なかなかのうざバングじゃないですかー」

!!!

い、今、なんとおっしゃいましたか!? と内心で叫んだ私の実際の音声化できた文言↓

「今、その、バング? えっと……なんですか?」

「えっ? なにが?」

( ・∇・) イケ! イクシカネー

「うざバングってなんですかっ!?」

きいちゃった! きいちゃったきいちゃった!! あああっ!!!

マスター「バング? 前髪だよ前髪。伸びまくって、なかなかのうざバングですよね」

バング=前髪

——この公式に! 私は! IT技術を一切駆使せずに辿り着いたッ!!(ドヤアァ

しかしながら、マスターの次の一言で私はさらなる衝撃に出遭うことに。

「でも、今年の秋冬のトレンドは『大人カワイイ短めバング』なんですよー。良かったら今度切りにおいでよ」

「今、空いてますか」(ハンターの瞳をキュッと)

「あー、うん。今さっきお客さん帰ったばかりで15分くらい空いてるから、それ、バッサリいっちゃいます?」

「はいっ……!」(縋る者としての応答)

こうして唐突に、私のうざバングライフは終わりを迎えたのです。じゃない間違えたアンニュイキャンペーンが終了しました。

というか、私は知らず知らずのうちに「ナチュラルうざバング人間」だったのですね。人ってさ、自分のことが一番わからないっていうけどさ、それ本当なんですね。つくづく(キュッ)

まるで自由の翼のような雲が、ぷかぷか気ままに浮かんでらぁ。

全くの蛇足ですが、短めの前髪にしたことでただでさえゼロに近かったアンニュイ度はダダ下がりし、視界は良くなったものの(そもそも短めの前髪は幼く見えがちになるという副作用もあるらしく)落ち着きのなさをまるっと体現した見た目と相成りました。

ここは、最近やっと勉強しはじめたメイクでアイシャドウを凝るなどして、どうにかしてアンニュイ度を上げなければ……(懲りてないしやっぱりなにかが違う)。

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