世界観の構築と惹き方—―亀野あゆみさん著「『宝生世津奈の事件簿/深海の使徒』第X章 アバター、そして、コータローの涙」 評
こちらは小説透明批評会、亀野あゆみさんの作品「『宝生世津奈の事件簿/深海の使徒』第X章 アバター、そして、コータローの涙」への批評ノートになります。当該作品はこちら。
長編とのことですが、この話は主要登場人物の人柄がよく伝わってくる一節となっていると思いました。社会派な面を持ちつつ、読者を置いてけぼりにしない、親近感を覚えるような人物像を描くように配慮されているように感じました。練られた世界観は読む人を惹きつける力を持っているのだと学ぶことができました。
一方で、せっかくの文章が読点でぶつ切りになっている印象を受けました。もう少し読点を減らしたほうがテンポよく読めるかもしれません。それと、小説のルール的な部分で「・・・」を「……」(三点リーダー2つ)にする、とか「!」「?」のあとは一文字分あけるなど、そういう部分は気になりました。ですが、あくまで細かいことです。
とはいえ、練りこまれた世界観の構築と、しっかりと読者を連れていく展開のテンポの良さとのバランスは、非常に勉強になります。亀野さんはしっかりとプロットを立ててそれを丁寧に編んでいらっしゃるのですね。すごいです(こと、私がプロットを立てるのが苦手ということもあり)。
お酒の好みで人物を表すシーンが特に好きです(ジンジャーエールをちびちび飲む世津奈、かわいいです)。大人の世界観なのに無理がないのは、亀野さんの持つお人柄のなせる業と思いました。
この批評会を機に、最初からもう一度じっくり読ませていただきます。ありがとうございました!
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。