マガジンのカバー画像

【小説】陽羽の夢見るコトモノは

12
ある日突然自宅が神殿になってしまったら。いつも通りアルバイトに行くしかないじゃないの。神さまとの、穏やかな日常生活のお話、なのかな?
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

陽羽の夢見るコトモノは(8)

陽羽の夢見るコトモノは(8)

一話へ 前回へ 次回へ

(8)おまけ最寄り駅の改札まで着いたところで、陽羽は伊織のシャツの裾をぎゅっと掴んだ。

「遠くへ、って言ったけど、わたし、やっぱり家に帰る」
「陽羽、私には状況が全くわからないんです。私の親と陽羽は、知り合いなんですか?」

陽羽は、めずらしく目を伏せた。電車がホームに進入する音が聞こえてくる。

「どうせ逃げ切れない。だったら、一秒でも長く、いおりのことを覚えていたい

もっとみる