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【小説】陽羽の夢見るコトモノは

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ある日突然自宅が神殿になってしまったら。いつも通りアルバイトに行くしかないじゃないの。神さまとの、穏やかな日常生活のお話、なのかな?
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陽羽の夢見るコトモノは(7)

陽羽の夢見るコトモノは(7)

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(7)困惑喫茶店にいた客の視線が、エリーゼに集中する。エリーゼは気まずそうに、「ふん」と吐き捨てるように言った。

「ごごう……?」

陽羽が不思議そうな顔でエリーゼを見る。エリーゼは、「なんでもない」と陽羽に言い聞かせるように言ったきり、黙ってしまった。その場に、ぎくしゃくとした空気が流れる。

「そう。今は名前があるのね」

沈黙を破ったのは、伊織の母親だった。伊織は

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