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【小説】陽羽の夢見るコトモノは

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ある日突然自宅が神殿になってしまったら。いつも通りアルバイトに行くしかないじゃないの。神さまとの、穏やかな日常生活のお話、なのかな?
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陽羽の夢見るコトモノは(4)

陽羽の夢見るコトモノは(4)

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(4)差し入れ季節は夏へとまっすぐに向かっているようで、日照時間も日に日に延びていっている。初夏の新緑が徐々に濃さを増し、力強い季節へと成長しているかのようだった。

晴れたら、窓を全開にして風を入れる。まだエアコンを稼働させなくてもしのげる気候だ。ちょうど筆が乗ってきたところで、万年筆のインクが切れてしまった。伊織は「あー」と呟くと、途中まで執筆していた原稿用紙をくしゃ

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