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2022年1月18日

今日のココ日(ココルーム日記)
いつもココルームを元気な声と陽気な笑い声で盛り上げてくれている自称「おしかけスタッフ」のゲンちゃん。
何事にも全力で取り組んで、ココルームに来た頃は右も左も分からずてんてこまいだったまかないご飯の準備やゲストハウスの運営も、今や現場の中心になって切り盛りしている。
ゲンちゃんの行動は常に全力であるがゆえに時々僕たちがびっくりするようなハプニングになったりもする。
ゲンちゃんがココルームにやってきてまだ間もない頃。
ゲンちゃんはバザーを売り上げるために毎日バザー用に届く寄付の服や小物に値付けをしたり、バザーに来たお客さんと積極的に会話をして販売を頑張っていた。
その日も寄付でいただいた洋服を値付けしていたゲンちゃん。
箱から出てきたシャツを見てひと言、「これアイロンかけたら絶対高く売れますよ!僕アイロンかけます!」と言うので「ゲンちゃんアイロンかけたことあるの?」と聞いたら「あんまりやったことないです!」と全力の笑顔で返事した。
「じゃぁ頼むね。俺がバザーの方を見てるから。」
そう言って僕はアイロン台を置いたテラスにゲンちゃんを残し、ココルームの入り口に広がるバザーへと向かった。
そこへ早速ひとりの女性がやってきて、「これください。」と僕に服を一着差し出してきた。
「はーい、これね。さんびゃくえ・・・」
そう言い終わるか終わらないうちに後ろからドドドドドドーッと足音が聞こえ、突如僕の横をぶっちぎってゲンちゃんが登場して「これねっ!300円っ!」と女性の前に立ちはだかった。
僕はゲンちゃんのあまりの勢いに呆気に取られて何も言えず、苦笑いしてその場をゲンちゃんに任せることにした。
僕は思った。
ゲンちゃんはバザーを売り上げるという責任感のあまり、アイロンがけを放り出してお客さんの対応に駆けつけたのだなぁ。
そう、アイロンがけを放り出して、、?
「まさか!!」
僕は心の中でそう叫んで慌ててゲンちゃんがアイロンがけをしていたテラスへ走った。
そこには、スイッチの入った熱いアイロンがシャツの上に放置されていた。
「危ねー!!」
幸いまだ焦げ跡がつかない状態で済んだが、「これはさすがに注意せねばならぬ!」と僕はゲンちゃんがバザーの対応から戻ってくるのを今か今かと待った。
そのゲンちゃん、さっきの女性客と話し込んでいてなかなか戻ってこない。
見ると少し深刻な顔つきで女性の話を聞いているようだ。
仕方がないので別の仕事をしながらゲンちゃんを待った。
五分後にようやく店内に戻ってきたゲンちゃん。
待ち切れなかったぜ!とばかりに僕がアイロンのことを切り出そうとする前に、ゲンちゃんは僕に向かってこう言った。
「今のお客さんね、自分の家が近所の火事で貰い火して焼けちゃったんですって。大変だなぁ。」
気の毒そうに話すゲンちゃん。
「大変だなぁって言っとるおのれがたった今ココルームを焼くところやったんじゃー!」とツッコミを入れたとか入れなかったとか。
今日も近所のオッチャンたちのために土鍋で炊いていたお粥のことをすっかり忘れてお昼ごはんをモリモリ食べていたゲンちゃんは、突然ザザーッという音と共にキッチンで吹き上がったお粥の鍋を見て、そのあまりに見事な噴き上がりっぷりにアハハハと無邪気に笑っていた。
それを見て一緒にご飯を食べていた僕たちもつられてケラケラと笑った。
結局いつだって屈託のないゲンちゃんのことが皆んな大好きなんである。
*写真は財布を無くしておおわらわになった後、どこからか出てきた財布にひと安心しているゲンちゃん。
(書いた人:テンギョー)

現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています