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2022年8月18日

今日のココ日(ココルーム日記)

釜ヶ崎の夏まつりが終了して二日が経つが、ココルームのスタッフは僕を含めみんな体力的に回復し切っておらず、釜芸合唱部のリーダーとして大活躍を見せたゲンちゃんも疲れのあまり早退することに。

それでも二年ぶりにステージが復活した夏まつりは、僕たちココルームのスタッフにとっても思い出深いものとなっている。

僕はカフェやゲストハウスを回すために夏まつりのイベントには殆ど参加しなかったが、最終日の釜芸がやっている書道のブースに行った時のことが印象に残った。

ひとりのオッチャンが、僕の隣で「西成好き」と書いていたのだが、西成と書いてから好きと書くまでにかなりの時間を空けていた。

西成と書いたは良いものの、そのあと何を書こうか逡巡しているようにも見えた。

このオッチャンはホントに好きと書きたかったのだろうか。

この地域に暮らす人にとって、西成(もしくは釜ヶ崎)は愛憎入り混じった対象かもしれない。

色々あってここに辿り着いた人たち。

せっかく色々なものから逃れてきたのに、ここでまたしんどい思いをしている人もいる。

それでもこの町を故郷のように思い、ここを終の住処と決めている人は少なくない。

「俺この町から早よ出て行こう思てんねん」

口癖のようにそう言うアルコール依存の人を知っている。

でもその人には大切な仲間がいて、この町はその仲間と一緒に暮らしていける場所。

僕は「西成好き」と書いたオッチャンの、西成と好きの間にかかった1分くらいの時間が意味するものを考えている。

本当はそこに意味なんてなくて、オッチャンは単に「好」の字を思い出そうとしていただけかもしれない。

ただ、オッチャンが西成の後に何を書くのかじっと見守っていた僕は、「好き」という字を見たときちょっとホッとした。

ただそれだけの出来事が、僕の夏まつりのハイライトだったように思う。

(書いた人:テンギョー)

現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています