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今回はルー・テーズ道場で特訓を積んで帰国した蝶野正洋選手が、持ち帰って必殺技に昇華させたSTFのご紹介です。STFとはステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック(Stepover Toehold With Facelock)の略称です。

STFはうつぶせの相手の片足を両足で挟むことにより、固定して足首と膝を極めて、そのまま覆いかぶさると同時に自身の腕で相手の顔面を抱え込んでフェイスロックの要領で顔面を締め上げます。極技、関節技・複合関節技・締め技に分類される技です。

原型はルー・テーズさんがクロスフェイスの呼称で用いた相手に実力差を知らしめる裏技でした。しかし現在は同名称の別の技があるため、こちらは「クリップラー・クロスフェイス」と呼ばれています。

STFはテーズ道場では頻繁に使われていた技でしたが、当初は名前のない技でした。原型のSTFは自身の片腕で相手の反対側の腕の手首を掴み、もう片方の腕を逆手にして肘辺りを相手の顔面に押しつけて締め上げる相手の全身をねじ切るような技でした。

STFのバリエーションとしてセッド・ジニアス選手がフェイスロック式を考案し、テーズ道場でコーチを受けた蝶野選手がフィニッシュ・ホールドとしたことで知られるようになりました。

STFは、テーズ道場の師範代であるマーク・フレミング、テリー・ゴディ、ゲーリー・オブライト、本田多聞、ヒデオ・イタミといった選手も得意にしています。また、ジョン・シナはSTF-Uの名称で使用していました。しかし、末尾の「F_U」は〇uck youの意味を込めた名称であったため、PG指定を避ける意味もあり現在は技の名称をただのSTFにしています。

蝶野選手はSTFの派生技として、相手の顔面ではなく腕を取る腕極め式STFや上半身を羽根折り固めのような状態で固める羽根折り固め式STF、さらには相手の足を交差させロープエスケープを困難にさせたクロス式STFなどが開発しました。

また、STFの体勢からそのまま仰向けに相手をひっくり返す裏STF「FTS」を発表しています。このFTSは足を極めているかいないかの違いで馳浩選手の裏STFとは微妙に異なっており、馳式裏STFは足を完全に固定していない(両足で相手の足を固定しているのみ)のに対してFTSは相手の足を固定した上で完全に極めている状態になっています。

ロビンSTF


両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。