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私的プロレス技名鑑⑲地獄突き

今回は、空手などの格闘技や武道で用いられる殴打技(オープン・ブロー)の一種である地獄突きです。貫き手、貫手突きとも呼ばれています。

いわゆる地獄突きというのは、人差し指から小指までを使用した貫き手で、もっとも多くみられる技です。

プロレスラーのアブドーラ・ザ・ブッチャー選手が、プロレスの試合で地獄突き(Throat Thrust)の名称で使用して以降、地獄突きという名称が定着しました。

梶原一騎さん原作の漫画「プロレススーパースター列伝」によると、地獄突きはブッチャーがシンガポールで空手の達人であるガマ・オテナの下で修行して開発したオリジナル技とされていますが、ガマ・オテナは実在しない人物で、いわゆる「梶原ファンタジー」の産物です。

貫手の鍛練法として一般的なものは、砂もしくは米を入れた甕に繰り返し貫手を突き刺す方法です。

「プロレススーパースター列伝」によると、ブッチャー選手は、この貫き手の練習を焼けた火鉢の中に手を突っ込んでいる描写がありますが、おそらくこれも梶原ファンタジーでしょう。

しかし、ブッチャー選手の下地に空手があるのは事実です。そこから地獄突きというネーミングを生み出したブッチャー選手は、ネーミングセンスがとても優れていると私は思っています。

ちなみに二本貫き手というのは、主に目つぶしに使う技で、いわゆるサミングというやつですが、当然目つぶしに利用することは反則です。


両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。