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子どもの損得勘定

小さい子どもがゴネてしまったとき、どんなふうになだめたらいいのかと、困ってしまうことってないですか?

目の前の小さい子どもが、我が子の場合は、親としてどんなふうに対応したらいいのでしょう….

あるいは、小さい子どもを預かるような職場(保育園、幼稚園など)で働いている人なら、どんなふうに対応されるのでしょう…

「ダメ!」「言うこと聞きなさい!」「そんなことを、言うんじゃありません!」「早くしないと、遅れるでしょ!」とか、言ってしまいませんか?

これらを言ってはいけない、と言いたいのではありません。

むしろ、言い方、タイミング、その時の状況、相手との信頼関係、相手と自分との力関係、など考慮する必要があるのかなと思っているだけです。

子どもは純真無垢だから、叱ってはいけないと言いたいのでもありません。

子どもは、大人の予想を遥かに超えて、実に強く我が身の保全をアピールしていると思うのです。こんな見方をする人は他にいないかもしれません。

生き延びるため、また成長するために、子どもは我が身を守ってくれる対象、自分を認めてくれる対象、自分に利益をもたらす対象に親近感を持って近づきますし、素直になりますよね。

また、その反対に、子どもは我が身を捨てるか傷づける対象、自分を認めようとしない対象、自分に不利益をもたらす対象に対しては嫌悪感を示し、近寄ろうとしませんよね。

そういう観点からすると、純真無垢というよりか、生き延びるための損得に敏感なのではないかと思うわけです。

そして、それが人間の本性なのかなと、思うのです。

大人たちは、童話・寓話などを聞かせたり、子どもたちに道徳心を持たせ「人に迷惑をかけてはいけません!」などと言い聞かせたりして、周囲(親の面子?)のことにも気が利く子になってほしいと、ついつい思ってしまいませんか….

わたしの経験においても、お友達みんなで行動しているときに、幼い我が子が駄々をこねて秩序をみだすのをみていると冷や汗をかきましたし、それを見ている他人が「子どもを甘やかしている」と陰口を言っているのが耳に入るととても辛かったですし、少し大きくなった我が子の不良な粗相を保護者会の席で担任から名指しで言われた時は、とても辛かったです。

自分が大人になって親になっても、親である我が身を守ってくれる子、親である自分を認めてくれる子、親である自分に利益をもたらす子は本当に親孝行だと思うわけで、反対に、親である我が身を捨てたり傷つけたりするような子、親である自分を認めようとしない子、親である自分に不利益をもたらす子だったらば、可愛いはずの我が子であっても嫌悪感を持ち、勘当したくもなるものなのでしょう….

それもまた、人間の本性なのかなと、思うのです。

いつまで経っても、そうやって、自分は守りたいし(自己保身)、自分が一番であることを周囲に認めてほしい(承認欲求)し、既に手にした利益(既得権、地位、お金)は絶対に手放さないようにしていたい…人間の本性はそんなもんなのでしょう。でも、今の時代(職場)、そうでもしないとほんとうに生き延びられないとでもいうのでしょうか?

今の時代(職場)に、親である自分を事業主、我が子を従業員に例えてみてみると…

あなたの職場にも、自己保身に走る上司や部下、承認欲求丸出しの上司や部下、既得権に拘る上司や部下など…思いあたる人たちがいるのではないでしょうか。

そんなに自己保身、承認欲求、既得権にこだわって奮闘しないと、社会(職場)で生き延びられないのでしょうか…?

それにしても、もらえるもの(福利厚生、一時金など)や既にもらっているもの(既得権、地位、給与)は絶対手放さず、さらに取れるもの(有給で休める休暇・休職、特権的に休む権利)は取るという姿勢は、どうなんでしょう?

幼稚園の砂場で、お友達の素敵な道具を取って返さずに、ずっと手放さず泣いて(自分こそ犠牲者だと)ゴネている子どもみたいではないですか….?

ハラスメント相談も、根底にはこのような人間の本性が潜んでいることを感じています。誰だって、自分の面子を保ちたいでしょうし、認めて欲しい気持ち…少しでも多くのお金を手にしたいという気持ちはあると思います…

そうは言っても、程度問題なのではないでしょうか….

事業主(親)も従業員(子)も、どちら側も自己保身・承認欲求・既得権にこだわり過ぎれば、どちら側も「権利濫用」になりかねません…

どちら側も自らの権利ばかりを主張するのではなく…バランス感覚と調和を保つ心持ちでいることができれば、トラブルの火種は大きくならないと思うわけで…

バランス感覚と調和を保つ心持ちでいるためには、何か言わなければならない状況の時、先の砂場の例えでいうなら自分の道具を取られた状況の時、取った相手にどんなタイミングでどんなふうに言えばいいのか、その子は全く知らない他人なのか、お兄ちゃんなのか、妹なのかなどの関係性、などを考慮して、言うべきことを言える必要があると思っています。

自己保身・承認欲求・既得権に拘ることはちょっと傍に置いて、言うべき時に言うべきことを言うことができるコミュニケーション力、取引における交渉力、それが現代社会(職場)で生き延びる術なのだと思うのです。

コミュニケーションによってお互いに理解し合えれば、もっと気持ちが楽になりますし、他人の嫌なことが気にならなくなりますし、もっともっと生きやすくなります。

コミュニケーションなんてわかりきっているとか心の中で思って腕組みしていないで、日々切磋琢磨してコミュニケーション力を上げていきましょう…そうしたら、世の中もっと平和になるんじゃないでしょうか….