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第1章繊維原料編 1.天然繊維〜1-2動物繊維 絹と蜘蛛の糸

獣毛と違い、絹(シルク)や蜘蛛の糸は体内から糸を吹き出すメカニズムなので別の分類になります。蜘蛛の糸は昨今話題になっていますが、現在流通し始めている糸(QMONOS)は蜘蛛の糸の成分を人工合成して作られたもであり、シルクの様に蚕が吹き出した繊維をそのまま引き揃えて束ねて作った糸とは違います。衣料品ではほぼ100%シルクが使用されていますので、ここではシルクの簡単な説明をいたします。

シルク

シルク繊維の断面写真

シルク繊維はセリシンとフィブロインで出来ていて、この状態で束ねられて糸にしたものを生糸と呼びます。セリシンはにかわ質で硬いので、セリシンを除去(精錬という)することが多く、この糸を練絹といいます。セリシンが除去されフィブロンだけになったシルク糸は、その三角形断面がお互いに擦れるときに独特の音を出し、これを衣擦れの音といいます。
ウールと同じくシルクも吸湿発熱性能が高く夏よりも冬向きの素材です。天然のヒートテックと理解することもできます。なので高温多湿の日本では薄手のシルクでも夏素材としては本来不向き。エアコンの風除けストールなら用途としてはありですね。

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