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【第四章】真実

老人はまた歩を進めながら、今度は奥の和室
つまり立派な仏壇のあった薄暗い部屋の障子を開けると話し始めた。

「お前もみたのだろう?あの人形を」老人は私を見てニヤリと笑う。

部屋を見て回っていたのを見られてたのかとドキッとした。
「怒りはせんよ、お前はなぜここ連れてこられたのか知らんのだからな」その言葉の意味がわからず怖くなる。

「この人形…不気味だと思ったのではないか?お前に聞くが、なぜ人形は4体在ると思う?…いや、何故4体必要だと思うかと聞いたほうが良いかな?」

私は人形を見る。

すると人形が置かれた場所のすぐ横に襖があり、その襖が少し開いていた。
そこにはおかっぱ頭で膝丈の浴衣のようなものを着た子ども達が四人、私をみてキャッキャッと笑っている。

その子達は真っ白というか…色がない。
すぐに生きていない『もの』であることはすぐに分かった。その瞬間、子ども達は笑いながら何処かへ走っていく。

もう一度人形を見た。
「ん?」私はふと庭にいる若者に目をやる。

頭に電気が走ったのがわかった。
「もしかして、帰宅した20代だと思われる子供たちと4体の人形。四人の幽霊の子供たち…」そこまで言葉にした時、目の前の人形に白い球体が入っていく様子が視えた。

そして次の瞬間、先程まで差し込んでいた光が消えたかと思うと、薄暗い部屋のまさにこの和室、数人の大人たちの姿があった。
どこか見覚えのある人達。そうだ若者たちが帰宅した時に玄関に駆けつけた親達だ。

しかしどこか雰囲気は違う…若い。
そのうち一人の女性が「仕方ないことなのよ」と、またどこかで女性の泣いている声も聞こえる。
男性が出てきて「この家を守るためだ」と言い皆を説得しているようにも見える。

そしてどうやっているのかわからないが、人形に白い球体が入っていく…どうやら魂を移しているようだ。しかしそれはこの家の子供のものではないことはわかる。

「どうした?」

その声に驚き周囲を見渡す。
先程の光景が消え、外からの明るい光が部屋へと差し込み、老人を背後から照らしている。
眩しさで目を凝らしながら老人をみていると「気づいたようだな」老人は私に背を向けると廊下を歩きながら

「もうじき宴が始まるようじゃな」

続く

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