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ガーデンデザイナーって、どんな仕事?

ガーデンデザイナーとは、何か?
とても一言では言えません。

というのは、はっきりした定義がないため、人によって仕事内容にばらつきがあるからです。ここでは、アトリエ心庭のデザイナーである、私の個人の仕事内容をご紹介しましょう。
ガーデンデザイナーはその名の通り、住宅の庭や外構を設計し、施工管理する仕事です。店舗の仕事もありますが、少数ですね。主に住宅の庭と外構の依頼が多くあります。新築とリフォームもどちらも設計しますが、今はリフォームが8割程度です。やっぱり15年以上経ってくると家族構成やライフスタイルが変化してきますので、使えない庭になっているケースが多くあります。そんな中、一番多い依頼は、子供が独立して夫婦二人になったので楽しめる庭をつくって欲しいというものです。リフォームはクライアントの要望がはっきりしていることと、リフォーム後のお庭を見てとても感激して喜んでもらえるので、やりがいを感じます。

仕事の内容について
私は、一人で打ち合わせ、設計、施工管理、植栽作業そしてフォローをしています。一人で最初から最後まで付き合うのはとても大変ですが、最もやりたかったことです。サラリーマン時代は大きな会社の外構設計部にいたので、ひたすら打ち合わせと設計作業でした。なかなか工事にも立ち会えず、竣工後のお庭の様子も見にいけませんでした。そんな、味気のない、流れ作業のような仕事はとても嫌でした。独立したら、最初から最後まで一人でやるんだと決めていました。今は忙しいですが、完成後の庭が数年経って、どんなふうに変化して、どう使われているのかを実際に確認できるので、とてもいいフィードバックをもらっていると思います。その経験がその後の庭の設計に活かされていると考えています。

設計と打ち合わせ
お庭の仕事は、現地を見ることとクライアントから要望を聞くことからはじまります。庭や外構は、土地形状や周辺環境に影響します。敷地を見ないで設計は絶対にできません。
クライアントもざっくりとした要望がある程度なので、敷地を見ながらおおよそのイメージを掴みます。この打ち合わせをした後で、車の運転中にイメージが浮かんでくることがよくあります。その後、数日は寝かせておいて頭の中である程度はっきりとしてきたら図面を描きはじめます。描きはじめたら結構早く描き上がりますね。そしてプレゼンをして、また要望を聞く、ということの繰り返しで内容を詰めていきます。
他人同士なので、クライアントをわかったつもりになってはいけません。どんなに長い付き合いでも知らない側面が必ずあると思います。わかったつもりになってしまうと気づくべきものに気づけない恐れがあるからです。いつも真摯に聞く耳を持つ。これがいい設計をするコツだと思っています。
それから、素人のアイデアだからとクライアントの意見を流してはいけません。私が持っていない視点を持っているのです。クライアントの意見からいいアイデアに発展した例はたくさんあります。言葉だけではなく、表情、仕草などから読み取る努力をしています。なので、最近のマスクはちょっと困りますね。ズームの打ち合わせも苦手です。クライアントの家で打ち合わせをすることが多いのですが、家の中のインテリアの好みや小物など設計のヒントになるものがたくさんあります。ある物がクライアントの好みと違うなーと思って聞いてみると貰い物だったりすることがありますので、よくリサーチします。こういうのを含めながら雑談をよくします。いままで雑談だけで3時間した日もありましたよ。

施工管理
やっと工事に漕ぎ着けたらあと少し、などと思ってはいけません。これからが本番、です。図面通りにすんなりと完成することがないこともないのですが、大半が修正をしながら進めます。クライアントから要望があることもありますし、私自身が変更したくなることもあります。そこはお互いに相談しながらすすめます。クライアントの無茶な要望もたまにはありますが、極力耳を傾け、言いなりにならず、最高の物ができるよう私が最終的には考えて提案します。最後は自分が責任を持つつもりで設計をしないと誰の設計だかわからなくなってしまいますからね。だんだん、完成が近づいてくると私も嬉しくなってきますし、ほっとします。「もう終わりだね、寂しいね」と言ってくれるクライアントも多く、工事を楽しんでくれていたのだなと思うと庭や外構をつくるというイベントを共有できたことがとても嬉しく、これからの庭の管理もきっと愛情を込めてやってくれるだろうという安心感があります。

引き渡し、その後
さあ、工事も終わりお引き渡し。庭には植栽が植わり、これから成長していきます。まさに庭の真の完成はまだまだ先なのです。本当に素敵な庭に仕上げるのは、クライアントなのです。そのことをよく理解してフォローしていかないといい庭はできません。手入れ方法や庭との付き合い方などをお教えしながら、長く付き合っていきます。まさに、庭を共に育てるのです。

以上が、ガーデンデザイナーの仕事です。とても素敵な仕事でしょう?
私は死ぬまでこの仕事をしていると思います。


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