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自分の「好き」から、活動をはじめる【とよなか地域創生塾第8期 DAY4(Aコース)】

豊中市を舞台に「地域」を「創」り「生」かしていくための考え方と仲間が得られる連続講座(ゼミナール)である、とよなか地域創生塾。今回は10月23日(水)に開催された「とよなか地域創生塾 DAY4(Aコース)」の様子をご紹介します。

これまで開催された3回の講座は、塾生全員参加の形で行われていましたが、DAY4では「A:『わたし』からはじめるまちづくりコース(以下、まちづくりコース)」と「B:目の前の人からはじめる課題解決コース(以下、課題解決コース)」の、2つのコースに分かれてのインプットを行います。
ここでは、自分の好きから活動をはじめたい人々が集まる「まちづくりコース」の内容をお届けします!

文:四反田百花(したんだ・ももか)

DAY4「まちづくりコース」の会場は、阪急宝塚線・服部天神駅前のおしゃれな喫茶店「ピーコック」さんです。

なんと60年(昭和39年創業)、親子3代にもわたって、この地で続いている喫茶店です。

約20名の塾生のみなさんが、まちの喫茶店に大集合。今回は「まちづくりコース」の方が大半ですが、「課題解決コース」の方もちらほらと参加されていました。水曜日の夜開催ということもあって、スーツ姿や制服姿の塾生の方もおられます。みなさん、おつかれさまです。

まちの喫茶店。閉店後に、塾がひらかれます。

それではさっそく、オープニングです。
日直係の和田弘子(わだ・ひろこ)さんによる、アイスブレイクからスタート!

ニックネームは「マーガレットひろこ」さん。満開の花のような笑顔が、とても素敵な塾生さんです。

今回のアイスブレイクのテーマは「こんな誕生日を過ごしました」。3〜4名のグループに分かれて、歴代の誕生日エピソードについてお互いに紹介します。「クラブを貸し切って誕生日パーティーを開催しました」「自分の写真を撮りに行ってみました」「特別なことはなくても、祝ってもらえること自体がうれしいです」というような、たくさんの素敵なお話が飛び交っていました。なんてハートフルなアイスブレイクなんでしょう…と思いきや、「毎年病気になります」「誕生日プレゼントにもらった現金で、借金を返済できました」などの衝撃的なエピソードも。さまざまな誕生日エピソードのおかげで、一気に場が和みました。

続いて、グループ単位で①近況報告・②DAY3の振り返り・③DAY4に期待していることを共有しました。

とよなか地域創生塾では、さまざまな年代・属性の人が混ざって交流しています。

その後、会場を貸してくださった「ピーコック」の店主である上芝英司(うえしば・えいじ)さんから、ご自身がこの場所でどのような活動を行っているのかの説明をいただきました。

20名以上がぎゅうぎゅうになって入っている店内を見て、「この店にこんなに人がいることがないから、緊張する」とおっしゃっていた上芝さん。

今回は「まちづくりコース」の講座ということもあり、これから何かをしてみたい人・自分の「好き」から活動をおこしてみたい人に向けて、上芝さん自身が楽しんで続けておられる活動をいくつか紹介していただきました。店頭でついたお餅を通行人に配るイベント、パンの耳で作ったラスクの売上金を子ども食堂に寄付する活動などなど、ここには書ききれないほどのたくさんの活動が行われています。自分自身が楽しくてやっていることが、周りを巻き込んで、他人も楽しませてしまう。みんなの「好き」や「楽しい」が循環する活動、とてもわくわくしますね。

それでは本編へ!今回のゲストは、兵庫県川西市で「スパイスカレーミルズ」というお店を経営する、久木田郁哉(くきた・ふみや)さんです!

久木田郁哉(くきた・ふみや)さんスパイスカレーミルズ代表。
1991年生まれ、兵庫県川西市在住。阪急川西能勢口駅前の商業施設アステ川西で地下1階にカレー屋の経営をしている。5年前に放浪の末、故郷の川西市に戻り、現在の事業をスタート。小さくお店をはじめることが得意で、自営もしつつ創業のお手伝いもしている。SNSで出会う人たちに対してコツコツと川西市への移住を促しており、この夏で20名まで増やした。子ども食堂や就労訓練の受け入れなど、自分たちにできる範囲で地域との関わりづくりに挑戦している。

久木田さんも、上芝さんと同じように「隙あらばやってみよう」「やってみたいから、とりあえずはじめてみた」のスタンスなのだといいます。

まず、久木田さんがこれまでやってきた活動について紹介していただきました。1つ目は、飲食店の経営。さきほどの紹介の通り、川西市をはじめとしたさまざまな場所でカレー屋さんを経営されている久木田さん。カレーを選んだ理由は「自分たちの分を確保したうえで、みんなにも分けてあげやすいから」とのこと(配給・共同炊事のようなイメージなのだそうです)。2つ目は、シェアハウス/集住。川西市に2つのシェアハウスをつくった久木田さん。インターネット上の「ちょっと世の中がしんどくなってしまった人」に声をかけて、川西市に住んでもらっているのだそう。久木田さんによると、そういった属性の人は都市部(=消費社会)に住んでいる人々が多いのだとか。

こちらは、久木田さんがいま取り組まれているさまざまな活動たちです。

喫茶店のおしゃれな壁に、スライドを投影しながらお話していただきました。

1つ目は、「いつでもこども食堂」。18歳未満無料の子ども食堂を、5年ほど続けておられるのだそうです。この活動のキーとなるのは、その名も「おふくろの味作戦」。これには「この店のカレーの味を、子どもたちの『おふくろの味』にさせたい!」や「川西市民をカレー大好きにしたい!」という、久木田さんの野望が込められています。

2つ目は、就労体験の受け入れ。さまざまな理由で働きにくいと感じている人を受け入れて、商業施設などで就労できるようにサポートしています。

3つ目は、地域のお手伝い。アプリ「ジモティー」を使い、1回500円で地元の人のさまざまな要望に応えています。地域の人々とのつながりかたが意外な形だったことから、塾生のみなさんからも驚きの声が上がっていました。

4つ目は、地域活動サポート。さきほど述べた「いつでもこども食堂」に以前来ていた子たちが、地域で活動をおこせるように支援をしているのだそうです。実際に、自治会館でお茶会を開いたんだとか。

5つ目は、ワンコインカレー屋。久木田さんは、地域での「居場所」を求めている人とつながりたいという気持ちから、誰でも気軽に訪れることができる「カレー屋」をプラットフォームとして設計しました。実際に、ワンコインカレー屋をきっかけにして出会えた人たちも多くいるのだそうです。

6つ目は、地域の魅力紹介。川西市に約30年暮らしているという久木田さん。川西市にあるさまざまなスポットの紹介や、自分自身の活動をYouTubeやnoteなどのメディアで発信しています。

その他にも、移住希望者の案内や就労支援施設との協働など、幅広い分野でさまざまな活動をおこされている久木田さんですが、どの活動に対してもとてもいきいきと楽しそうに語っておられたのが印象的でした。塾生のみなさんの表情も自然と緩んでいきます。

久木田さんについて、塾生の方からは「本当に幸せそうに生きておられるな」「心に余裕がある」といった感想があがりました。

なぜ久木田さんがこれらの活動をしているのかについても、語ってくださいました。
「1人でガンガン稼いでいこう、みたいなのが苦手なんですよ。他人と分かち合えないことに、窮屈さを感じるんです。誰かと、何かに取り組むような形じゃないと、やりにくいんですよね~」
それらの言葉からは、「仲間と一緒に活動がしたい」という久木田さんの信念が、にじみ出ているように感じました。

レクチャーの最後に、これから活動をおこそうとしている「まちづくりコース」の塾生のみなさんに向けて、久木田さんはこうおっしゃいます。
「まずはアイデアを出して、小さな活動からでもやってみることが大事です。そのままできそうなら続けてみたり、一緒にやれそうな仲間を探してみたりしてみてください。もし現段階では無理そうなら、アイデアが湧いてきたり、共感してくれる人が出てきたりするまで、放置でもいいんです。自分自身が『楽しむ』ことが、大切だと思います。自分の活動の楽しさを語ることで、共感してくれる人は自然と現れるので」

とりあえず、自分の「好き」から活動をはじめる。一歩ずつ前に進んでみる。久木田さんの言葉たちは、やさしく塾生のみなさんの背中を押します。

続いては、「株式会社ここにある」の佐藤瞳(さとう・ひとみ)さんとのセッションです!

佐藤さんは、「ここにある」の自称ゆる担当。久木田さんと佐藤さんのやさしくてゆるい雰囲気が、会場全体をふんわり包みこみます。

佐藤さん「楽しい・やりたいと思うことは、どうやって溢れてくるのですか?」

久木田さん「みんなが楽しいと思っていること・やってみたいと思っていることを聞いてみますね。それと、自分の興味関心を組み合わせてみてます」

佐藤さん「けっこう複数人で活動されることが多いように思います」

久木田さん「1人はあまりないですね。2人以上で同意をとってやります」

佐藤さん「どうやって仲間づくりをするのですか?」

久木田さん「消費社会からあぶれた人たちと、友達になるようにしています。ワンコインカレー屋が、そういう人たちを集めるきっかけになってますね。そのうちに、仲間になるんですよ」

佐藤さん「1人だと、消費社会からあぶれた活動はしづらいですよね。2人以上だと、そういった活動へのやる気も湧きやすいというか」

久木田さん「仕事してなさそうな人たちと、よく遊んでます(笑)。そうやって遊んでみると、その人が消費社会からあぶれたような活動に興味があるタイプなのか、分かります」

同じ方向性をもった仲間に出会うこと。そのために、自分自身が楽しいと思えるものを大切にしておくこと。塾生のみなさんはところどころ噛みしめるようにうなずきながら、2人のセッションに耳を傾けていました。

久木田さんによるレクチャー・佐藤さんとのセッションを踏まえた上で、本日のラストは塾生同士のワークタイムです。DAY3の宿題として、各自が今後取り組んでみたい活動・活動内容・その活動を選んだ背景・実践のための手法や手段・ターゲットなどについて、A4サイズの「わたしシート」にまとめてきました。ここでは、3~4名のグループに分かれて、お互いにプレゼンテーションをします。

自分の「好き」をプレゼンテーションする塾生の方も、他人の「好き」を聞く塾生の方も、目を輝かせながら議論を交わされていました。

音楽・コーヒー・図書館などなど、豊中エリアが楽しくなりそうなキーワードがたくさん飛び交っていました。グループ内で意見を交換することで、久木田さんがおっしゃっていた「仲間づくり」に紐づいていく、いいきっかけにもなりそうですね。また、聞き手側の塾生のみなさんも、ただ感想や質問を述べるだけでなく、発表に対して新たなアイデアを出していたのが印象的でした。

久木田さんのレクチャー・セッションを聞いて、前もって作成してきた「わたしシート」を、早く家に帰ってブラッシュアップしたい!と意気込む塾生の方も。

これにて「とよなか地域創生塾 DAY4(Aコース)」はクロージングです。あっという間の2時間でしたね。塾生のみなさん、おつかれさまでした。

久木田さんの活動には、どれも「自分の好きなこと・楽しいと思うことを、とりあえずやってみる」「共感してくれる仲間と一緒に、取り組んでみる」という軸があったように思います。これから何かをしてみたい・自分の興味関心から活動をおこしてみたいと思っている「まちづくりコース」の塾生のみなさんにとって、そういった軸を持って活動されている「先輩」のお話は、今後に生かされていくにちがいありません。

久木田さんは、塾生のみなさんに「今後、何かお手伝いできることがあれば!場所探しとかできます(笑)」とおっしゃっていました。すでにさまざまな活動をされているゲストの方とつながりを持つことができる、とよなか地域創生塾。今回のテーマともいえる「仲間」をつくるのにぴったりな場です。

また久木田さん自身が、DAY3のゲスト・山崎亮さんがお話されていたキーワード「消費社会」という言葉を何度も使いながら、自らの活動をそれと対比させて語っておられました。塾生のみなさんも、前回のなかなかハードだった内容をあらためて振り返り、再考しながら、新たな見識を吸収できていたのではないでしょうか。以前の回との関連性を感じつつ、学びを深めていくことができるのも、連続講座であるとよなか地域創生塾の魅力ですね。

次回DAY5「プロジェクトチームを決めよう!」では、ついに今後はじめる活動に向けてチームビルディングを行います。さまざまな内容が詰まったレクチャー・ワークを踏まえて、塾生同士が自分の「好き」から生まれた活動を共有し、これからチームで協働する仲間を作っていきます。今後どのような化学反応が起こるのか…!とても楽しみですね。

こちらのnoteでは、引き続き「とよなか地域創生塾2024」の様子を発信していきます。次回以降も、ぜひご覧ください。

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