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『娯』「娯楽長樂」ーこころのエンタメー

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呉は、口(さい; 祝詞を入れる器)を持ち巫女が舞う姿。巫女が神を楽しませたことから『娯』。『鬼滅の刃』、『君の名は。』からこころ模様を学ぶ!
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2020年10月の記事一覧

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 1心理分析

はじめに 鬼滅ファンの方々には、いまさら物語のあらすじを説明する必要はないだろう。今回「鬼滅の刃無限列車編」公開に合わせて、note 配信する。 今回の note シリーズ 「娯」が、現代の闇を生きる私たちのこころの養生ガイドとしてお役立ていただければ幸いである。 また、いつものようにネタバレの内容を含むため、本編をご覧でない方の閲覧は、ご遠慮いただきたい。 この記事が含まれているマガジン「娯」 1)鬼滅との出会い ある心理系の女性が、この漫画を絶賛していたことも

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 2邪鬼の情

この記事が含まれているマガジン 1)邪鬼の回顧「鬼滅の刃」では、「鬼」にされた人間の過去を回想するシーンがある。それらには共通した心情がある。 それは、果たされなかった過去の願いや想いがあったことだ。当たり前の日常の何気ない小さな幸せ、しかし、それすら叶わず、人知れず無念を感じた心情。 その想いは、はじめは些細であっても、他人に蔑まれ、詰られ、大切な人にさえ無視されながら、次第に大きな怒りへと姿を変えていくことがある。 そういった心情に、嫌になるほどやるせない気持ちと

『鬼滅の刃』 現代の鬼再び 3剣士の自我

この記事が含まれているマガジン 今回は、善逸、伊之助の物語上の役割について、心理学的な観点から話をしていく。はじめに、物語から読み取れる過去の生い立ちや経緯から、二人の性格傾向について触れる。 1)善逸の自我善逸のキャラは、非常に怯えやすく、恐怖を前にして慄き、絶叫する。いうなれば単なる「ヘタレ」だ。 作品ではこれらの感情を極端にコミカルに描く。おそらく原作者も本能的に描いているこの演出は、結果的に陰性感情に対する好転作用が生み出されることになる。そして、善逸の隠された